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病院のベッドの上で、あるいは大切な人のこれからを思うとき、「最期はどう迎えるんだろう」とふと不安になることはありませんか。
日々の忙しさに追われていると、生きることや死ぬことについて深く考える余裕なんてなくなってしまいますよね。
でも、ふとした瞬間に心にぽっかり穴が空いたような気持ちになったり、誰かの温もりが恋しくなったりすることもあるはずです。
今回は、そんなあなたの心にそっと寄り添い、生きる意味を見つめ直させてくれる一冊をご紹介します。
医療の現場で葛藤しながらも、人と人との繋がりを見つめ続けた医師のリアルな言葉に触れることで、凝り固まった心が少しずつほぐれていくのを感じられるはずです。
誰もが心の中に抱えながら、口に出せない問いかけ
若手医師の何気ない一言から、この物語の扉が開きます。
医療の現場で働く人が直面する、誰もが答えを持たない問いとは何なのでしょうか。
アルバイトとしてやってきた若手医師が、ふと漏らした言葉があります。
「先生、緩和ケアに…やりがいって、あるんですか?」 この質問を聞いたとき、胸が締め付けられるような、言葉に詰まるような感覚を覚えた人は少なくないはずです。
私たちが普段生きている社会では、成果が出ることや、目に見える数字、ハキハキとした手応えが求められがちです。
病気を治して、元気に社会復帰してもらうことこそが医療の主役だと思われがちですよね。
そんな中で、治すことが難しい患者さんに向き合い、ただそこに寄り添う緩和ケアという場所に身を置くとき、一体どんなやりがいがあるのでしょうか。
著者である高橋有我さんは、自身も過去に深い心の傷や生きる苦しみを味わいながら、救急の現場から緩和ケアの道へと進みました。
そこにあったのは、ドラマチックな救命の現場とは全く違う、目立たず、泥臭く、地味な医療の現実でした。
患者さんとどう向き合えばいいのか、どこまで治療を続けて、どこで立ち止まるべきなのか。
正解のない迷いや葛藤の連続の中で、医師として、そして一人の人間として悩み続ける姿が赤裸々に綴られています。
この本を開くと、私たちは「やりがい」という言葉の裏側にある、もっと深くて温かい人間の営みに気づかされるのです。

今は関係ないと思っていても
誰にでも訪れることだから考えとかないとね。
派手な救命の裏側にある、泥臭く尊い医療の現場

ドラマのような劇的な回復ばかりではない場所で、医療者たちは何を見つめているのでしょうか。 そこには、患者さんと家族の日常がそのまま流れています。
テレビドラマを見ていると、医療の現場といえば一刻を争う救命救急や、難しい手術を成功させるシーンが思い浮かびますよね。
患者さんが元気に退院していく姿は、見ている側も胸が熱くなります。
ですが、それだけが医療のすべてではありません。
森の中にある緩和ケア病棟では、私たちが普段当たり前だと思っている「診察して、診断して、治療する」という枠組みから少し外れた時間が流れています。
そこでは、病気を治すことだけが目的ではなく、患者さんが抱える痛みや苦しみを和らげ、その人らしい生活のケアが大切にされています。
著者が出会った患者さんたちの中には、もう言葉を交わすことが難しくなった方もたくさんいます。
それでも、冷たい機械に囲まれた場所ではなく、温かい足湯のケアを受けたり、思いがけず大好きな飲み物を口にして心を震わせたりする瞬間があります。
家族に見守られながら、穏やかな時間を過ごすこと。
それは決して派手ではありませんが、人間としての尊厳をまもるために、誰かが絶対にやらなければならない大切な仕事なのです。
効率や生産性ばかりが重視される現代において、こうした泥臭くて地味な医療の現場は、私たちが忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれます。

僕も最後まで一緒に考えてくれる
お医者さんにみてもらいたいな。
自分の傷みを知ることで、はじめて見えてくるもの
医師自身が病気や苦しみを経験したとき、患者との向き合い方はどう変わるのでしょうか。
痛みを知るからこそ届く、温かなまなざしについて紐解きます。
この本が心に響くのは、著者が決して完璧な優等生としてではなく、多くの弱さや苦悩を抱えながら歩んできた人間だからこそです。
学生時代に深い絶望を味わい、救急の現場でも心のバランスを崩しながら、必死に自分の居場所を探してきました。
そして、著者自身が肺炎の検査を受け、小さな影を見つけて手術を経験するという大きな転機が訪れます。
それまで数多くの終末期患者を診てきた医師でありながら、いざ自分が患者の立場になると、「こんなにも死にたくない、助けてくれ」と心の底から怯える自分に気づきます。
かつては自ら命を絶つことばかり考えていた学生時代があったのに、いざ病を前にすると、生きたいと強く願う。
その矛盾や揺らぎを包み隠さず書き記しているからこそ、読んでいる私たちの胸にまっすぐ届くのです。
患者の苦しみに寄り添うとはどういうことなのか。
ただの医療者と患者という関係を超えて、お互いの不完全さや弱さを認め合いながら、心が共鳴し合う瞬間。
それが、人と人とが「振動」するということなのだと気づかされます。
完璧ではない私たちが、ただそこに一緒にいること。
その無力感に打ちひしがれながらも、手を差し伸べようとする姿勢に、胸が熱くなります。

風邪を引いただけでも普段の健康が
どんなに恵まれているのか気づくよね。
この本は、こんな毎日にそっと寄り添ってくれます
心や体が少し疲れてしまったとき、この本はどのような時間を届けてくれるのでしょうか。
おすすめの読者層や読むタイミングをご紹介します。
日々の中で、「これでいいのかな」と立ち止まってしまうことはありませんか。
仕事や人間関係に疲れてしまい、自分の存在価値を見失いそうになるときもあるでしょう。
この本は、以下のような悩みや気持ちを抱えている人にそっと手渡したい一冊です。
・自分の生き方や、これからの人生についてふと考えてしまうとき
・大切な人との別れや、老いていくことに対する不安を抱えている人
・日々の忙しさから少し離れて、心をゆっくり休めたいと感じているとき
・誰かに優しくしたいけれど、自分のことで精一杯になってしまう人
読むのに特別な心構えはいりません。
通勤や通学の電車に揺られている短い時間でもいいですし、夜、すべてを終わらせて部屋の明かりを少し落としたひとりの時間でもいいのです。
ページをめくるうちに、自分の心の中にある頑ななものが少しずつほどけていくのを感じるはずです。
大きな答えがすぐに見つからなくても、「今の自分のままでいいんだな」と、そっと自分を肯定してあげられるような、そんな優しい時間をもたらしてくれます。
【こちらの記事もおすすめです】
本書と同じように、「どこまで医療を続けるべきなのか」「本人の望む最期とは何なのか」という正解のない重い問いに真っ正面から迫ったノンフィクションです。
患者と家族、そして医療者が直面する苦悩と命の尊厳について、さらに深く心に問いかけたい方はぜひあわせてお読みください。
👉 [関連記事] 『透析を止めた日』(堀川恵子)感想・レビュー|止める決断の裏にある家族と医師の葛藤
ページを閉じたあと、心に残るやさしい変化

読み終えたとき、私たちの心にはどんな景色が広がっているのでしょうか。
日々の景色が少し違って見えるようになる、その理由をお伝えします。
最後のページを閉じるとき、あなたの心にはきっと温かな穏やかさが満ちているはずです。
私たちは普段、何かを成し遂げたり、結果を出したりすることにばかり意識を向けてしまいがちです。
けれど、この本を読むことで、「ただそこに存在していること」そのものに価値があるということに気づかされます。
効率や数字では測れない、人と人が心を通わせる瞬間の美しさ。
たとえ言葉を交わせなくても、同じ時間を共に過ごし、お互いの体温を感じることの意味。
それらは決して派手なものではありませんが、私たちの人生を深く支えてくれる大切な土台です。
もし今、身近な人のことで悩んでいたり、将来への不安を感じていたりするなら、なおさらこの本を開いてみてください。
他人の痛みや優しさに触れることで、自分自身や周りの人たちに対する見方が少しずつ優しく変わっていくのを感じるでしょう。
今日という日を大切に生きようと思える、そんな心強いお守りのような一冊です。

僕の寿命は人より短いけどこうして
見てくれただけで何だか意味があったのかも。
読後の感想
ここからは、私自身がこの本を読み終えて率直に感じたことをお話しします。
心に深く残った言葉や、これからの日々の向き合い方についてつづります。
私はこの本を読み終えたとき、胸がいっぱいになり、しばらくその場から動けなくなりました。
作中に出てくる「いること」が大事という言葉は、医療の現場だけでなく、私たちの毎日の生活の中でも本当に大切な真実なのだと感じました。
今、私の義父も癌になり、まだ自分の意思で動くことができるものの、これからどうなっていくのか本人も家族も不安で仕方がありません。
それでも、「ただそこにいてくれること」を心に留めておき、本人の気持ちを家族としてしっかり受け止め、伝えていけたらいいなと強く思いました。
今は身近な親のことから考えていますが、いつかは自分自身の番であり、そしていつかは子どもたちの番にも必ず訪れる人生の最後です。
どんな治療をどこまで望むのか、元気なうちに自分の中で整理しつつ、実際にその場が訪れたときには、本人の気持ちに寄り添いながら納得できる選択をしていきたいと感じました。
先に旅立った先人たちが遺してくれた体験や、著者の真摯な言葉に触れられたことに対して、心から感謝の気持ちでいっぱいになりました。
この本に出会えて本当によかったと、心の底から思いました。

僕たちもそばにいてくれる人が
いるから怖くないんだよ。

歳をとって最近トイレ失敗しちゃうけど
怒らないで心配してくれて
いつもありがとうね❤️
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
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