知らなかったでは済まされない、故郷を奪われた人々の真実。『死なないと、帰れない島』(酒井聡平 著)

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いつもブログに遊びに来てくださり、ありがとうございます。
ネオンくんとゴハンくんが足元で丸くなって眠るのを眺めながら、今、
私はとても複雑で、でもどこか熱い思いを抱えながらパソコンに向かっています。

毎日ニュースを見ていると、
「平和」という言葉が少し揺らいでいるように感じることはありませんか?
当たり前のように続くと思っていた日常が、ある日突然違うものになってしまうかもしれない。
そんな漠然とした不安を抱えている方もいるかもしれません。

今回ご紹介する本は、そんな私たちが生きる「今」と、
決して切り離してはいけない過去を繋いでくれる一冊です。
映画や教科書の中でしか知らなかった島の、本当の姿。
そして、今もなお続く悲しみと戦い。

この本を開くことで、あなたはきっと、
自分の足元にある当たり前の幸せをもう一度強く抱きしめたくなるはずです。

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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硫黄島は「戦場」ではなく、豊かな「ふるさと」だった

硫黄島は「戦場」ではなく、豊かな「ふるさと」だったイメージ画像

激戦地としてのイメージしかない硫黄島。
でもそこには、私たちと同じような温かい日常がありました。

硫黄島と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
おそらく多くの人が、黒い砂浜、過酷な戦闘、
そして映画で描かれたような凄惨な戦場をイメージすると思います。
私もこの本を読むまではそうでした。

でも、戦前のこの島には1000人もの人々が暮らし、
パパイヤなどのフルーツがたわわに実り、サトウキビ畑が広がる豊かな生活がありました。
お正月には凧揚げやかるた大会で賑わい、
定期船が来るたびに新しい生活物資や本土の情報に胸を躍らせる。
野球やテニスを楽しむ若者たちがいて、そこには間違いなく、
笑顔があふれる「ふるさと」の景色があったのです。

過酷な戦地というイメージの裏側に、こんなにも穏やかな島民たちの営みがあったこと。
その事実を知るだけでも、これまでの認識が大きくひっくり返るような衝撃を受けます。
彼らにとっての硫黄島は、決して「死にゆく場所」ではなく、「生きていく場所」だったのです。

ネオンくん
ネオンくん

いまだに島民の方が帰れない
状況なのを知らなかったよ…

引き裂かれた家族と、取り残された少年たち

引き裂かれた家族と、取り残された少年たちのイメージ画像

戦火が近づき、島民たちは強制的に疎開させられます。
しかし、全員が一緒に逃げられたわけではありませんでした。

アメリカ軍の影が迫る中、老人や女性、
小さな子どもたちは本土へと強制的に疎開することになります。
しかし、16歳以上の男子は「軍属」として島に残され、
家族は無情にも引き裂かれてしまいました。

船に乗って島を離れる幼い子どもたちが、島に残る兄や父親の姿を船の上から見つめる場面。
「お前はいいな、船に乗れて」と、
玉砕を覚悟した少年が疎開する友人に寂しげに語りかける場面。
読んでいる間、何度も文字が滲んで先へ進めなくなりました。

我が家の息子も、つい先日高校受験を終えたばかりです。
もし今の時代に同じことが起き、
15、6歳の息子が武器も持たずに見知らぬ大人たちと島に残され、「死んでこい」と言われたら。 そう想像するだけで、恐怖と怒りで胸が張り裂けそうになります。
彼らは「敵なのに、人間なんだな」と敵国のパイロットの笑顔に気づくような、
純粋で普通の少年たちだったのです。

ゴハンくん
ゴハンくん

急に軍属として扱われるなんて
酷い時代だったんだよ…

なぜ今も「帰れない」のか?明かされる戦後の真実

戦争が終わり、他の島々は返還されても、硫黄島だけは島民の帰島が許されていません。

この本が最も強く私たちに突きつけるのは、
「戦後80年が経とうとしているのに、なぜ彼らは故郷に帰れないのか」
という現在進行形の問題です。
小笠原諸島が日本に返還された後も、硫黄島だけは「定住困難」とされ、
自由な立ち入りが禁じられています。

著者は、膨大な公文書や議事録を開示請求し、その謎に迫っていきます。
そこで見えてきたのは、島民の気持ちに寄り添うことのない、
国や軍事的な都合が優先された会議の実態でした。
硫黄島を熟知する島民が議論の場から外され、自衛隊の訓練拠点として、
あるいはアメリカ軍の「記念碑」的な意味合いとして島が扱われている現実。
そこには、法的根拠すら曖昧なまま、
国によって故郷への扉を閉ざされ続けた人々の無念がありました。

帰島運動のリーダーとして奮闘した人々も、やがて複雑な政治の壁に阻まれていきます。
「死なないと、帰れない」。
年4回の遺骨収集のボランティアとしてしか上陸できないという現実が、
その言葉の重さを物語っています。

ネオンくん
ネオンくん

やっぱり自分が生まれ育った土地は
自分の故郷として戻りたくなるよね。

この本はこんな方におすすめです

歴史の事実を知るだけでなく、
今ある日常の尊さを見つめ直したい方に手に取ってほしい一冊です。

・おすすめしたい年代・状況 

10代からシニア世代まで、すべての方。
特に、子育て中の親御さんや、家族を大切に想う方に読んでいただきたいです。

・こんな悩みや気持ちのときに

 当たり前の毎日に少し疲れてしまったとき。
平和な時代に生きているけれど、なんとなく未来に不安を感じているとき。
ニュースで流れる「戦争」という言葉に、どう向き合えばいいか迷っているとき。

・おすすめの読書シーン

 休日の午後に、温かいお茶を淹れてまとまった時間で。
または、家族が寝静まった夜、一人でじっくりと活字に向き合いたいときに。

・読後に得られるもの 

自分の足元にある何気ない日常が、どれほど奇跡的で尊いものかに気づけます。
そして、大切な人をただ大切にできる今の環境を、心から愛おしく思えるはずです。


合わせて読みたいおすすめの一冊:中脇初枝『神に守られた島』

『死なないと、帰れない島』で歴史の波に翻弄された人々の思いに触れた方に、
ぜひあわせて読んでいただきたいのが中脇初枝さんの『神に守られた島』です。

こちらは「島」と「戦争」をテーマにした小説作品。
美しい自然に囲まれた島に戦争の影が忍び寄り、当たり前の日常が奪われていく恐ろしさが、
子どもたちや島民の視点から優しくも力強く描かれています。

ノンフィクションで事実を知ったあとにこの物語を読むと、
歴史がより「温度を持った人間の痛み」として真っ直ぐに胸に迫ってきます。

【こんな方におすすめです】 

・「島と戦争」についてさらに深く考えたい方
・小説という形で当時の人々の心の機微に触れたい方
・平和への祈りや、命の尊さをテーマにした物語をじっくり読みたい方

どちらの本も、読み終えたあとに自分の足元にある日常がたまらなく愛おしくなる一冊です。
ぜひ一緒に手に取ってみてください。

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読み終えて感じたこと

ここからは、私が個人的に感じた思いを少しだけお話しさせてください。

正直なところ、この本を手にとるまで、
私は硫黄島について「映画で観た激戦地」という知識しかありませんでした。
今もなお、民間人が故郷に帰ることを許されていない問題が続いているなんて、
思いもしなかったのです。

令和になった今でも、亡くなったお兄さんが「やっと会えたね」と訪ねてくるのを待ち続け、
インターフォンが鳴るのを願っている90歳の女性のお話には、胸が詰まりました。
60年間、毎日自宅の二階で手を合わせ続けたその人生に、
戦争は「終わった過去」などではなく、ずっと背負い続ける現在なのだと思い知らされました。

平和な時代が続いているからこそ、
私たちは引き継いでいかなければならないことがたくさんあります。

気を許してしまうと、また同じ過ちの方向へ進んでしまいそうで、
本を閉じても背筋が寒くなるような恐怖を感じました。
戦争は、自分たちから起こさなくても巻き込まれる可能性があり、
二度と同じ惨状を繰り返さないためには、私たちが「知る」ことから始めるしかありません。

島に帰れない人々や、まだ冷たい土の中で眠っている人々の思い。
その重みを少しでも受け取ることができたこの本に、私は深く感謝しています。
著者の酒井さんが、
メディアがあまり報じないこの問題に対して記者として立ち上がってくれたことにも、
大きな敬意を持ちました。

1人でも多くの人がこの歴史を受け継ぎ、忘れないこと。
それが、今の私たちにできる一番の行動なのだと思いました。
あなたもこの本を開いて、島で生きた人々の声に耳を傾けてみてください。
きっと、明日からの景色が少し違って見えるはずです。

ゴハンくん
ゴハンくん

僕のご主人様の田舎は沖永良部なんだけど
戦争の時に同じく苦労してたって聞いたよ。

ネオンくん
ネオンくん

いろんな島があるけどみんな生活はできると
思うから僕も早く帰島出来ることを祈ってるんだ。


気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『死なないと、帰れない島』は、各ストアで詳しく見られます!

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