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「もし、あの時の自分に今の考えを伝えられたら──あなたは人生を変えたいと思いますか?」
垣谷美雨さんの小説『マンダラチャート』は、
63歳の主婦が1973年(昭和48年)にタイムスリップし、
人生をやり直すヒューマンドラマです。
大谷翔平選手も活用する目標管理ツール「マンダラチャート」をきっかけに、
当時の理不尽なジェンダー格差や社会の常識に立ち向かう主人公の姿が共感を呼んでいます。
この記事では、『マンダラチャート』のあらすじや見どころ、
そして本作が現代社会に投げかける深い問題提起についてネタバレなしで感想をお届けします。
1. 垣谷美雨『マンダラチャート』とは?(作品概要とあらすじ)

本作は、令和の価値観を持つ女性が「昭和の常識」に直面し、
自分の手で未来を選び取っていく過程を描いた作品です。
あらすじ
63歳の主婦・北園雅美は、夫のモラハラや家族からの無理解に長年耐え、
自分を犠牲にして生きてきました。
ある日、大谷翔平選手を真似て自らの「マンダラチャート」を作成。
「男女平等な社会」「モラハラのない世界」といった目標を書き込んだ直後、
めまいに襲われ、気づけば中学2年生(1973年)の自分にタイムスリップしていました。
スマホもネットもなく、ジェンダー差別が当たり前だった時代。
令和の感覚を持ったまま過去を生き直すことになった雅美は、
同じく未来から来たクラスメイト・天ヶ瀬と交換日記で支え合いながら、
かつて諦めた「自立した人生」を模索し始めます。

未来から見たら今も酷い
時代だったなって思うのかな。
2. 本作の3つの見どころと感想

① 昭和の「当たり前」に潜む理不尽な現実
読者が最も衝撃を受け、同時に共感するのは、昭和という時代のリアルな描写です。
- 女性の大学進学への猛反対
- 成績優秀でも「お茶くみ要員」とされる就職先
- 結婚=寿退社が当然という同調圧力
- 日常化している痴漢被害や差別発言
スマホもなく声を上げる手段もない時代。
当時はそれが「普通」だった社会の不合理さに、60年以上を生きた雅美の視点が入ることで、
「懐かしい」ではなく「おかしかった」と明確に気づかされる構成が秀逸です。
② 女性として“働く”ことの高い壁と自立への道
建築の道を志す雅美の前に立ちはだかるのは、
「女性だから」という理由だけで仕事を任されない現実です。
親の反対、男性中心の大学、工務店での“息子の嫁候補”としての扱い。
それでも護身術を習い「強くなる」と決意し、
小さな住宅メーカーで働き始める雅美の姿には、大きな勇気をもらえます。
男社会だけでなく、女性同士の競争や暗黙のルールという別の壁にぶつかりながらも、
「自分で決めて進む」ことを選ぶ強さが胸を打ちます。
③ 天ヶ瀬との絆と「本当の幸せ」の再定義
令和からタイムスリップしてきたもう一人の人物・天ヶ瀬との関係性も、本作の大きな軸です。
かつて家庭のために自分を犠牲にしていた天ヶ瀬もまた、
過去に戻ったことで「自分の幸せ」を問い直します。
孤独な昭和の時代を、同じ価値観を持つ者同士として支え合うふたり。
時を経て、彼らが自らの過去(かつての結婚生活など)とどう向き合い、
どんな未来を選び取るのかから目が離せません。

僕も若い頃に戻ってみたいな。
3. 現代社会に通じる深い問題提起
本作は、単なるタイムスリップものや過去の振り返りではありません。
「男だから/女だから」 「家族のために我慢するのが当然」 「社会の常識に従うべき」
雅美が昭和で闘ったこれらの壁は、
形を変えて令和の今の社会にも根強く残っていることに気づかされます。
働く女性として、母として、ひとりの人間として「自分の人生を生きる」難しさ。
本作は、現代を生きる私たちが無意識に縛られているものから
解放されるためのヒントを与えてくれます。

出産などがあるから
女性の負担の方が大きいよね。
4. 小説『マンダラチャート』はこんな人におすすめ
本作は、以下のような悩みや思いを抱えている方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
- ジェンダーギャップや社会の常識に違和感を感じている人
- 家庭内のモラハラや不平等に悩んでいる人
- 「自分らしく働くこと」に迷いを感じている人
- 自分の人生をもう一度見つめ直し、未来を切り拓きたい人
- 昭和の社会背景や歴史的価値観に興味がある中高年世代
読後には、あなた自身も自分のための「マンダラチャート」を書いてみたくなるはずです。
【あわせて読みたい】
『マンダラチャート』のように、家族の無理解や夫の態度にモヤモヤを抱え、
「自分の人生を取り戻したい」と願う女性の姿に共感した方には、
桐野夏生さんの『だから荒野』もおすすめです。
こちらはタイムスリップではなく、46歳の専業主婦が誕生日に家を飛び出し、
夫の車で高速道路をあてもなく西へ向かう痛快かつ壮絶なロードノベル。
すべてを捨てて「荒野」へと踏み出した主人公が、
道中で様々な人々と出会いながら自立していく姿に、圧倒的なエネルギーをもらえる一冊です。
5. まとめ|人生は、自分で決めていい
垣谷美雨さんの『マンダラチャート』は、状況に振り回されるのではなく、
自らの意思で人生を選び取る大切さを教えてくれる力強い物語です。
「報われないかもしれないけれど、それでも私は私をあきらめない」
そんな雅美の姿勢に、背中をそっと押してもらえます。
自分の生き方に迷いやモヤモヤを感じたとき、ぜひ読んでみてください。

僕は過去に行っても今の家に
自分の意思で戻ってくるよ。

僕は一回だけ可愛い猫に囲まれて
暮らしてみたいかな…なんてね。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『マンダラチャート』は各ストアで詳しく見られます!
読書の時間が取りにくい方には、耳で楽しめる「Audible」もおすすめです。
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