【トラウマ児童文学】『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』(鈴木悦夫)あらすじと感想|不気味で心から離れない名作

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「幸せな家族って、どんな家族のことだろう?」 ふと、そんなことを考えたことはありませんか?

仲がよくて、笑顔が絶えない、周囲からうらやましがられる理想の家族。
しかし、外から見える「幸せ」と、家の中にある「本当の姿」がいつも同じとは限りません。

今回ご紹介する『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』(鈴木悦夫・著)は、
そんな「家族の見え方」と「現実」のあいだにある、
なんとも言えないズレを描いたミステリアスな物語です。

決して明るく元気が出る本ではありません。
むしろ、読書中は背中がざわざわするような不穏な感覚が続きます。
しかし、読み終えたあと、自身の家族や身近な人間関係を少し違う目で見つめ直したくなる、
そんな不思議な引力を持った一冊です。

「幸せそうに見えること」と「本当に幸せであること」の違いについて、
そっと気づきを差し出してくれる本作の魅力とあらすじをご紹介します🐾

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』のあらすじ

写真スタジオつきの広い新居に引っ越してきたばかりの中道家のイメージ画像

物語は、誰もがうらやむような「完璧な家族」の日常から始まります。

舞台は、写真スタジオつきの広い新居に引っ越してきたばかりの中道家。

  • 父: 有名な写真家
  • 母: 美しく優しい母親
  • 長女: しっかり者の姉
  • 長男: 少し空気が読めない兄
  • 次男(語り手): 小学6年生の末っ子・省一

ある日、この一家に「保険会社のCMで『幸せな家族』のモデルとして撮影される」
という企画が舞い込みます。
誰もが見ても恵まれた、理想的な暮らし。
しかし、撮影が始まろうとしたその瞬間から、思いもよらない出来事が起こり始めます。

穏やかだったはずの日常が、少しずつ、しかし確実にきしんでいく。
「幸せな家族」というタイトルが、読み進めるほどに皮肉で恐ろしい意味を帯びてくるのが、
この物語の最大の入り口です。

ネオンくん
ネオンくん

不穏な空気感が伝わってくる
文章にゾクゾクしちゃうよ…

本作が「トラウマ児童文学」と呼ばれる3つの理由

検索や読者の口コミでも「トラウマになる」「忘れられない」と評される本作。
その不気味さの正体は、以下の3つの要素にあります。

1. 物語を不気味に彩る「古い唄」の存在

物語を不気味に彩る「古い唄」のイメージ画像

本作を語るうえで絶対に外せないのが、
タイトルにもある「そしてその頃はやった唄」の存在です。

作中には、ひとつの家族が次々といなくなっていく様子を歌った、
不気味な古い歌が登場します。
最初は単なる昔ばやりの歌として軽く口ずさまれるだけですが、
物語が進むにつれて、歌詞の内容と現実の出来事がリンクし始めます。

💡 制作の裏話 
本書の解説によると、
本作は「唄が先にあって、その唄になぞらえて物語がつくられた」
という構成になっています。
物語の隅々まで張り巡らされた伏線と仕掛けが、
ただのホラーではない、文学としての完成度の高さを生み出しています。

ゴハンくん
ゴハンくん

作品を読み終わってから歌を調べて聴いてみてね。
明るく歌われた気持ち悪い感じになる歌だったよ…

2. 語り手・省一の「異常なまでの冷静さ」

いちばん心に引っかかるのが、語り手である末っ子・省一のまなざしです。

家族に大きな事件が起き、周囲が大騒ぎし、マスコミが押し寄せても、
省一はやけに冷静で、まるで他人事のように状況を眺めています。
彼が抱える「たいくつ病」というキーワードが何度も登場し、
退屈な日常が壊れていくことを、心のどこかで面白がっているようにすら見えます。

「子どもの目線で語られているのに、なぜこんなに不安になるのか?」
——その答えは、読者の倫理観を揺さぶる省一の心理描写にあります。

ネオンくん
ネオンくん

子供は純粋だというのが
頭のどこかにあるのかもね。

3. バブル期特有の「うわついた空気」

時代背景はバブル期。
きらびやかで物質的に豊かでありながら、どこか地に足のついていない空気が、
中道家の抱える「内側のひずみ」と不穏さをいっそう引き立てています。

ゴハンくん
ゴハンくん

時代が加速してついて
いけない感じがあったよね。

謎解き以上の魅力「考えさせられる余白」

正直に言えば、本作は「誰が犯人か?」「どういうトリックか?」といった、
純粋なミステリーとしての謎解きを楽しむ作品ではないかもしれません。
読み進めるうちに、真相はなんとなく見えてきます。

それでもページをめくる手が止まらないのは、
「なぜ、この恵まれた家族はこうなってしまったのか?」
という深い問いが胸に刺さり続けるからです。

読み終えても、すべての「なぜ」がきれいに消えるわけではありません。
その「考えさせられる余白」こそが、大人の読者をも引き込む最大の魅力です。

ネオンくん
ネオンくん

僕は子供の頃に読んで
たらどう感じていたんだろう?

こんな人・こんなシーンにおすすめの本です

ターゲット読者層

  • 少しダークで、心にざらりと残る物語が好きな人
  • 人間の「影の部分」や「心理的ゆがみ」を描いた話に惹かれる人
  • 「幸せな家族って何だろう」とふと考えることがある人
  • 子どもの頃に読んだ「トラウマ本」の記憶が今も忘れられない大人
  • ミステリー要素よりも、心理描写を重視する読者

あわせて読みたい:不気味さと優しさが同居する、もう一つの物語 
『幸せな家族〜』のように、どこか不穏で背筋がざわっとする物語に惹かれた方には、
新井素子さんの『くますけと一緒に』もおすすめです。
突然両親を亡くした少女・成美と、彼女が肌身離さず抱えるクマのぬいぐるみ「くますけ」。
彼女の強い願いに呼応するように、周囲で奇妙な出来事が起き始めて……。
ほんのりホラーテイストでありながら、読み終えた後には「心の拠り所」の温かさに包まれる、
唯一無二の児童文学です。

おすすめの読書シーン

本作は、明るい気分のときよりも、物語の世界に深く沈み込める環境での読書が適しています。

  • 夜、ひとりの時間にじっくり物語に向き合いたいとき
  • 雨の日、家にこもって読書に没頭したいとき
  • 通勤や通学の電車で、ぐっと引き込まれる物語を読みたいとき

※注意点:
 読後感が非常に強いため、寝る前に一気読みしようとすると寝つけなくなる可能性があります。
休日の昼下がりなどに、コーヒー片手にゆっくり読むのがおすすめです🍀

ゴハンくん
ゴハンくん

読んでから
歌も流してみてね。

まとめ|「人の心は単純じゃない」と教えてくれる不思議な一冊

この本を読み終えて心に残ったのは、
「外から見える幸せと、内側にある本当の気持ちは、
ぴったり重ならないことがある」という事実です。

笑っているからといって、心の中まで晴れているとは限らない。
目の前の人を「わかったつもり」にならないことの大切さを、
この物語は冷酷なまでに教えてくれます。
優しい気持ちになれる本ではありませんが、
周囲の人への「想像力」を深めてくれる、非常に稀有な読書体験ができます。

この家族は本当に不幸だったのか。
それとも、ある意味では最後まで家族として結びついていたのか。

子どもの頃に読んでいたら意味がわからずにただ怖がっていた物語も、
色々なことを疑うようになった大人になった今だからこそ、深く腑に落ちるものがあります。
「トラウマ児童文学」と呼ばれる理由を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

ネオンくん
ネオンくん

歌の歌詞どおりに
なっていくの怖いね。

ゴハンくん
ゴハンくん

ネコ踏んじゃったに
ならないように気をつけてよね。


気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』は、各ストアで詳しく見られます!

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