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大人になるにつれて、誰かに甘えたり、
本音を打ち明けたりするのが少しずつ難しくなっていませんか。
人見知りで、つい人間関係に疲れてしまう私にとって、
愛猫のネオンくんやゴハンくんのやわらかな毛並みを撫でる時間は、
張り詰めた心がほっとほどける大切な癒しです。
今回ご紹介する新井素子さんの『くますけと一緒に』は、
そんなふうに「心の拠り所」を必要としている人に、そっと寄り添ってくれる物語。
誰にも言えない悲しみや不安を抱えているとき、この本を開くと、
「人間じゃなくても、何かに頼っていいんだよ」と
背中をなでてもらえたような安心感に包まれます。
疲れが溜まって、ふと誰かに寄りかかりたくなった夜に、ぜひページをめくってほしい一冊です。
ぬいぐるみは、ただの「モノ」じゃない

幼い頃、ぬいぐるみに話しかけていた記憶はありませんか。
彼らは私たちの言葉にならない感情を、すべて受け止めてくれる特別な存在でした。
主人公は、突然の交通事故で両親を亡くした小学4年生の女の子、広瀬成美。
母の友人である裕子さんに引き取られた彼女の心を支えているのは、
クマのぬいぐるみ“くますけ”です。
どこへ行くにも一緒で、夜もぴったりと抱きしめて眠る。
成美にとってくますけは、ただの布と綿でできたおもちゃではなく、
世界で一番信頼できる「家族」そのものでした。
理不尽に日常が奪われたとき、自分だけの絶対的な味方がいることは、どれほど心強いことか。
成美がくますけをギュッと強く抱きしめる描写から、
幼い心が懸命に自分を守ろうとする切実さが伝わってきて、胸がぎゅっと締め付けられます。

みんなはどんな
相棒がいたか覚えてる?
怖さと優しさが交差する、不思議な世界

ただの心温まるお話で終わらないのが、この作品の大きな魅力。
日常の中に、ほんの少しの不穏な空気が紛れ込みます。
裕子さんとの新しい生活が始まり、成美は少しずつ外の世界と関わり始めます。
しかし、物語が進むにつれて、成美の周りで「ある出来事」が起こり始めるのです。
くますけは、本当にただのぬいぐるみなのか。
それとも、成美の強い願いや悲しみが、何か別の形を持ったのか。
ホラーのようなゾクッとする展開を含みながらも、物語全体を包み込んでいるのは、
どこまでも深い優しさです。
安心と不安の間で揺れ動く成美の心がとても繊細に描かれていて、
ページをめくる手が止まらなくなります。

不気味なオーラ放っている
人形ってたまにあるよね。
こんな人におすすめ・どんなシーンで読みたい?
子どもはもちろん、かつて子どもだった大人にこそ、まっすぐに届いてほしい物語です。
おすすめしたい読者
・小学校高学年から、児童文学が好きな大人まで
・家族との関係や、人との距離感に悩んだことがある人
・絶対に否定されない「心の安全基地」を求めている人
・子どもの心の内を深く理解したい保護者や教育関係の方
こんなシーンに寄り添います
・夜、お布団の中で一人ぼっちを感じて不安になったとき
・人間関係に少し疲れて、誰とも話したくない休日
・昔大切にしていたぬいぐるみのことを、ふと思い出したとき
この本を読み終えた後、「今のままの私でいいのかも」
「周りの人に少しだけ優しく接してみたい」と、心がふっと軽くなるのを感じるはずです。
こちらもオススメです
『くますけと一緒に』の少し不穏な空気感に惹かれた方には、
鈴木悦夫さんの『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』もおすすめです。
「幸せな家族」のCMモデルに選ばれた一家が、
不気味な唄の歌詞になぞらえて次々と命を落としていく……という、
背筋がゾクッとするジュブナイル・ミステリー。
物語は、小学6年生の末っ子の視点で淡々と語られます。
うちの息子が同年代だった頃と重ね合わせると、
家族が欠けていく異常な状況をどこか突き放して見つめる少年の孤独が、
痛いほどリアルに伝わってきました。
家族の脆さや思春期の不安定な心理が深く突き刺さる名作です。
完璧じゃない大人たちの「受け入れる努力」
子どもを取り巻く大人たちの不器用な優しさも、この物語のもう一つのテーマ。
読んでいる大人自身の心も救ってくれます。
血の繋がらない成美を引き取った裕子さんも、最初から完璧な「親」だったわけではありません。 戸惑い、悩みながらも、成美とくますけをありのまま受け入れようとする姿には、
たくさんの勇気をもらえます。
また、晃一おじさんのように、最初は上手く関われなくても、
なんとか理解しようと努力してくれる大人の存在。
彼らの眼差しがとてもあたたかく、無条件に寄り添ってくれる人がいるだけで、
人は少しずつ前を向けるのだと教えてくれます。
作中にある「子どもが親よりぬいぐるみを好きでもいい」という言葉。
正しさよりも、「何が安心できるか」を丸ごと肯定してくれる優しい世界が、ここにあります。

みんな子供の時代があったのに
気持ちが分からなくなちゃうんだよね…
まとめ:私にとっての“くますけ”
読み終えたとき、私は自分の部屋を見渡し、
かつて一緒に過ごした大切な友達のことを思い出していました。
子どもの頃、私もぬいぐるみにたくさん話しかけ、一緒に泣いたり眠ったりして過ごしました。
だからこそ、成美がくますけに強く依存してしまう気持ちが痛いほどわかり、
まるで自分のことのように物語に引き込まれました。
実は、大人になった今でも私はぬいぐるみが大好きです。
部屋にちょこんと座っている彼らを見ると、それだけで不思議と心が落ち着きます。
あとがきにある「ぬいぐるみ教」という言葉通り、年齢に関係なく、
彼らはいつも無言で私の孤独や不安を受け止めてくれる、
かけがえのない「心の避難所」なのだと、この本を読んで改めて思いました。
『くますけと一緒に』は、自分の中にある柔らかな記憶を呼び起こしてくれる、
唯一無二の物語でした。
不安な夜や、心が少しささくれ立ってしまったとき。
成美とくますけの歩む道を見守りながら、
あなた自身の心にもあたたかな毛布をかけてあげてくださいね。


今の僕たちの相棒は「ハピフェネちゃん」だよ。
あとイーブイのぬいぐるみも、いっぱいあるんだ。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『くますけと一緒に』は各ストアで詳しく見られます!
読書の時間が取りにくい方には、耳で楽しめる「Audible」もおすすめです。
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