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毎日、何気なく眺めているスマートフォンの画面。
フリマアプリを開いて、見ず知らずの誰かが出品した商品を眺めるのが好き、という方も少なくないかもしれません。
「この服を手放すなんて、どんな理由があるんだろう」「背景に写っている部屋、すごくおしゃれだな」と、そこにある誰かの生活を少し覗き見るような感覚には、ちょっとしたワクワク感がありますよね。
でも、もしその見知らぬ出品者のページのなかに、「自分の私物」が売られていたら……?
今回ご紹介するのは、私たちのすぐそばにある便利な日常が、一瞬にして逃げ場のない恐怖へと変わるホラーミステリです。
毎日の生活に少しの刺激が欲しい方、予測不能な展開にただただ身を任せてハラハラしたい方に、ぴったりの一冊をご紹介します。
見慣れた画面から始まる、終わらない悪夢

スマートフォンの画面越しに、じっとこちらを見つめる誰かの視線。
当たり前の日常が非日常に反転する瞬間です。
物語の主人公は、フリマアプリ「バイバイ」を見るのが好きな女子大生のミナミ。
彼女がいつものようにアプリを眺めていると、たった300円で出品されている見覚えのあるリップを見つけます。
よく見ると、自分が持っているものと同じ傷跡があり、写真の背景も自分の部屋そっくり。
嫌な予感がしてカバンを探すと、あるはずのリップが見当たりません。
そして、出品者から届いたのは「次は落とさないで下さい」という身の毛のよだつようなメッセージでした。
そこから、見えない出品者「M氏」による悪夢のような嫌がらせが始まります。
部屋の排水口から取り出された髪の毛、昔の恋人とのプリクラ、さらには自分の成績通知表まで。 自分のパーソナルな領域に、得体の知れない誰かが確実に侵入しているのです。
「いま、後ろに誰かいるのではないか」 「私がいない間に、誰かがこの部屋を歩き回っているのではないか」 そんな錯覚に陥るほど、現代の私たちの生活に密着したヒリヒリとする恐怖が迫ってきます。
アプリの画面に新しい出品通知が来るたびに、心臓が跳ね上がるようなリアルな感覚を味わえます。

なんか猫の髭も出品されてるけど
僕のじゃないよね?
息つく暇もなく畳みかける怒濤の展開
ひとつの謎を解き明かしたと思っても、すぐ足元にはさらに深い闇が口を開けて待っています。
この作品の大きな魅力は、なんといっても加速度的に高まっていく緊迫感にあります。
最初は「ストーカー被害」や「ネットを通じた嫌がらせ」といった、現代的なヒトコワ系のホラーかと思って読み進めるはずです。
しかし、物語は読者の予想を軽々と裏切り、想像もつかない方向へ急展開していきます。
不審な動きをするアパートの管理人。
ネットの掲示板で出会った、同じような被害に遭っているという心強い協力者。
そして少しずつ浮かび上がってくる、ある怪しげな村の存在。
ページをめくるたびに状況が二転三転し、恐怖の質がどんどん変化していくのです。
フリマアプリという極めて現代的なツールを使った不気味なサスペンスから始まり、気がつけば逃げ場のない因習ホラーのど真ん中へと引きずり込まれています。
次々と襲いかかってくる試練と明かされる秘密の数々は、一瞬たりとも目を離せない緊張感に満ちています。

文字数がスッキリしてるから怖いのに
ページをめくってしまうんだよ。
ブルブル🥶
人間のドロドロとした感情が渦巻く恐怖

一番恐ろしいのは、幽霊でも怪物でもなく、優しい笑顔の裏に何かを隠し持っている人間なのかもしれません。
物語が進むにつれて、ミナミを取り巻く登場人物たちの隠された素顔が次々と剥がれ落ちていきます。
親身になって相談に乗ってくれる友人、頼もしい協力者、優しい恋人、そして自分を心配してくれる家族。
極限状態に追い詰められたとき、人は誰を信じればいいのでしょうか。
信じていた人の裏の顔を知ってしまったときの、あの足元が崩れ落ちるような絶望感。
人間の底知れぬ欲望や、黒い悪意、そして執着といった狂気が複雑に絡み合い、物語はどんどん救いのない方向へと転がっていきます。
すべてが明らかになったあとの、なんとも言えない不穏な余韻は、最後のページを閉じた後も胸の奥にべっとりと張り付いて離れません。

人の心は読めないけど
猫は尻尾でバレちゃうんだよ。
こんなあなたにおすすめの一冊です
今の自分の気分に、ぴたりとはまる本を探している方へ。
・おすすめの年代
10代後半から、フリマアプリなどのネットサービスを日常的に使っているすべての世代の方。
・どんな悩みを持つ人に合うか
毎日の同じような繰り返しに、少し退屈さを感じている人。
モヤモヤした気分を、強烈な刺激とサスペンスで吹き飛ばしたい人。
人間の隠された怖い一面を、安全な場所からこっそり覗いてみたい人。
・どんなシーン・気分のときに読みたくなるか
休日の前夜、部屋の明かりを少し落として、一人でどっぷりと物語の世界に浸りたいとき。
または、長時間の電車移動のなかで、時間を忘れて別の世界へ没頭したいとき。
先の見えない展開に、ただただ引き込まれたい夜にぴったりです。
・読後に得られる気づき・変化
読み終えた後、いつものスマートフォンの画面や、見慣れた自分の部屋の景色が、ほんの少しだけ違って見えるかもしれません。
そして、何事も起きない退屈だと思っていた平穏な日常が、実はどれほどありがたいものなのか、心の底から再確認できるはずです。
【あわせて読みたい】
スマホ越しに見えない悪意が迫ってくる恐怖……それにゾッとした方には、こちらの作品も強くおすすめします。
ある日突然、身に覚えのない殺人事件の犯人として、自分の名前と顔写真がネット上で大拡散(炎上)してしまったら……?
浅倉秋成さんの『俺ではない炎上』は、SNSの暴走によって日常を奪われた男の、決死の逃亡劇を描いたサスペンスミステリーです。
「もし明日、自分が標的にされたら」と想像せずにはいられないリアルな恐怖と、最後に待ち受ける家族のドラマに、ページをめくる手が止まらなくなります。
他人の生活を覗き見る代償
ここからは、私が実際にこの物語を読んで感じたことを、少しだけお話しさせてください。
私自身、普段からフリマアプリをよく使います。
画面に並ぶ商品を見ていると、それを出品した人の生活や人生が垣間見えるような気がして、ただ眺めるのが好きな気持ちがすごくわかりました。
ミナミと同じように、他人の日常を覗き見ているような、ちょっとした好奇心を楽しんでいたのだと思います。
でも、この本を読んで、その感覚がガラリと変わりました。
最近は便利なアプリが思いもよらない事件に巻き込まれるケースもあり、私たちの生活に欠かせないインフラになりつつあるからこそ、その裏側にある危険性をまざまざと想像してしまいました。
読み進めるうちに、ふと「私の部屋にあるものも、知らないうちに出品されていないだろうか」と、後ろを振り返って部屋を見回してしまったほどです。
自分の人生の一部を、勝手に切り取られて値段をつけられる恐怖。
他人のプライベートを覗き、消費ばかりしていると、いつか自分も同じように消費される側に回ってしまうのかもしれない。
そんな悪意の連鎖に、心底背筋が寒くなりました。
怒濤の展開に翻弄され、最後の最後まで驚かされっぱなしの緊張感あふれる読書体験でした。
スリリングな物語を求めている方は、覚悟を決めてページを開いてみてください。

フリマアプリよく使ってるから
この本の表紙すごい怖いんだよな…

この前は髭だったけど今度は僕の
使ってたおもちゃが出品されてるんだけど😱

おやつ買おうと思って
出しちゃったけど300円でも
買われてなくてなんかごめんね。
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