【書評】『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』:答えのない問いに向き合う読書体験

『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』サムネイル画像
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「これでよかったのかな」と、答えが出ないまま、
もやもやを抱えて眠れない夜はありませんか。
恋愛やお金のこと、人とのつながり。
世の中の「当たり前」という空気になじめず、少しだけ自分を責めてしまう。

本作は、そんな夜にそっと寄り添い、立ち止まる時間を与えてくれる一冊です。

この記事では、藤谷千明氏の著書
『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』を読み、
私が感じた「お金」「ケア」「欲望」についての考察と、本作の魅力をご紹介します。

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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本の基本情報とテーマ

女性用風俗を利用しているイメージ画像

まずは本作の全体像を整理します。

項目内容
タイトル人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと
著者藤谷千明
主なテーマ女性用風俗、お金と資本主義、ケア、人間の欲望、ジェンダーの非対称性
記事の目的本のあらすじ、心を揺さぶられたポイント、おすすめの読者層の紹介
ネオンくん
ネオンくん

なかなか議論しにくいところを
書いてくれていて勉強になったよ。

本書のあらすじ:搾取と欲望の正体を探して

利用後にいったい何に対してお金を払ったのかを考えているイメージ画像

むずかしそうなテーマに見えて、入り口はとても素直な体験記から始まります。

著者の藤谷さんは、離婚後に「手っ取り早く誰かと過ごしたい」
と出会い系アプリを利用するもうまくいかず、
お金を払ってプロにお願いする「女性用風俗」を利用します。
しかし、そこで得たのは「気持ちよかった」という思いと同時に湧き上がる
「搾取」という不思議な違和感でした。

その感情の正体を紐解くため、著者は業界に関わる多くの人々に話を聞きに行きます。
本作は単なる風俗体験記ではなく、人間の欲望とお金、
そして人とのつながりの本質を問う作品なのです。

ゴハンくん
ゴハンくん

僕はまだ利用したことないけど
興味はあるし、そこには制欲や
罪悪感やらいろんな感情が詰まってるのかも。

心を揺さぶられた3つのポイント

1. 「男は当たり前、女は事情がある」という非対称性 
男性がお金を払って遊ぶことは「当たり前」とされる一方で、
女性が同じことをすると「DVがあったのか」
「夫婦間に何かあったのか」と理由を探られがちです。
男性の欲望は「健康にいい」とすら言われるのに、女性の欲望は「病」のように扱われる。
この「男は雑で、女は丁寧」という非対称性は、風俗業界に限らず、
私たちの日常にもこっそり忍び込んでいることに気づかされました。

ネオンくん
ネオンくん

確かに女性が利用してたら
ちょっと引いちゃうところがあったかも…

2. 「お金・ケア・欲望」をめぐる人間の弱さ 
お金を払えば「同意」も買えるのか、その関係は本当に対等なのか。
普段「消費される側」にいる人がお客の立場になった途端、
相手につらく当たってしまうこともあります。
著者はきれいごとで終わらせず、誰かを断罪することもなく、
立場によって変わってしまう人間の弱さを誠実に描き出しています。

ゴハンくん
ゴハンくん

お金を介すと
何かが変わるよね。

3. 著者の「逃げない姿勢」とまとまらない声 
現役セラピスト、店舗オーナー、ホストに通う女性など、
本作に登場する人々の意見は全員バラバラです。
著者はその「まとまらなさ」を一つの結論に収めず、
さらに自らも男性用風俗で働くという行動に出ます。
周囲に止められても、自分の体で確かめにいく。
その姿勢があるからこそ、本書の言葉にはずしりとした重みがあります。

ネオンくん
ネオンくん

こんな想いのこもった本が
読めるなんて本当に感謝しかないよ。

印象に残った一行:見えなくされていた傷

たくさんの場面のなかで、私が最も心を動かされたのは、
長くセラピストをしてきたある男性が辞める際にこぼした言葉でした。

「ほんとうは『気持ち悪い』とか『されたくない』と思う瞬間があったけれど、
それを『なかったこと』にしていた」

「男なら相手が誰でもうれしいはず」という世間の決めつけが、
傷つく側の痛みを見えなくしてしまう。
男性であれ女性であれ、傷つく側はちゃんと傷ついているのだという事実に、
私は少しだけ泣きそうになりました。

ゴハンくん
ゴハンくん

セラピストのことを知らない
人が多いから色々難しいよね…

どんな人におすすめ?

本作は、特定の誰かではなく、もっと広い人に開かれた本です。
以下のような思いを抱える方に、そっとおすすめします。

  • 「当たり前」という言葉に、なんとなく息苦しさを感じている人
  • 男女の役割や、見られ方の違いにずっと引っかかっている人
  • お金で買えるもの・買えないものについて、一度ちゃんと考えてみたい人
  • 誰かを責めるのではなく、人の弱さごと見つめたい人
  • いろんなことを経験し、人生を振り返りたくなった30代以上の人

こちらもオススメです🐱

『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』を読んで、
「正解のない問い」や「人の心のもやもや」にもう少し浸っていたいな、と感じた方へ。

当ブログでご紹介している、こちらの作品も合わせて読んでみてはいかがでしょうか。

▼ 匿名の空間でむき出しになる人間の光と闇 
[【書評】『LOVE LOVE ラブホテル』(井町さとる)]

風俗が「お金とケアの交差点」であるなら、ラブホテルは「究極の匿名空間」です。
現役のラブホテル支配人である著者が描く、そこを訪れる人々の言葉にできない秘密や孤独。
社会の建前を脱ぎ捨てたリアルな人間模様に、きっと深く考えさせられるはずです。

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まとめ:答えが出ないまま、考え続けていい

この本は、明るい昼間にぐいぐい読むより、
一日が終わってひとりになれた夜に開くのが似合います。

私自身、風俗の世界に行ったことはありません。
しかし読み進めるうちに、これが「人を求める気持ち」の話なのだと気づきました。
寂しさや、ただ誰かにそばにいてほしいという誰の心にもある思いが、
お金やケアの形を借りて描かれています。

ページをめくるたびに、すっきりするどころか、もやもやは深まっていきます。
読み終えても、明確な答えは手のなかに残りません。
しかし代わりに、「考え続けていいんだ」というちょっとした勇気が残ります。

読み終わったあと、いつもより少しだけ自分の気持ちを大事にしたくなる。
そんな不思議な手ごたえのある一冊に出会えたことを、私はうれしく思います。

ネオンくん
ネオンくん

僕が利用するとしたら
寂しくなったらかなと思ったかも。

ゴハンくん
ゴハンくん

利用する側もされる側も
理由なんて無限にあって
そこが人生の良さだね。


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