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「どうせいつか離れるのなら、はじめから深く関わらないほうがいい」
傷つくのが怖くて自分の心にふたをしてしまったり、
誰かと仲良くなりすぎないようにそっと距離をとってしまったりした経験はありませんか?
今回ご紹介するせやま南天さんの小説『パルティータを鳴らすまで』
の主人公・拓実(たくみ)くんは、まさにそんな生き方をしている14歳の男の子です。
本書は「別れ」をテーマにしながらも、
読み終えたあとには不思議と心がじんわりとあたたかくなり、
「自分の気持ちに正直になってもいいんだ」と思わせてくれる一冊です。
この記事では、本作のあらすじや見どころ、読後の感想をネタバレなしでお届けします🐱
『パルティータを鳴らすまで』の基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 作品名 | パルティータを鳴らすまで |
| 著者 | せやま南天 |
| 主なテーマ | 養育里親制度、家族の絆、 音楽(バイオリン)、少年の成長・自立 |
| こんな時におすすめ | 夜に一人で心を落ち着けたいとき、 前を向く勇気がほしいとき |
【あらすじ】「期限付きの家族」養育里親制度がもたらす切ない現実

物語の根底にあるのは、「養育里親」という制度です。
主人公の拓実くんは4歳のとき、弦楽器職人の父親・央太郎(おうたろう)さんと、
母親の麻衣(まい)さん夫妻の暮らす「岸根家」にやってきました。
それから10年、温かい愛情に包まれて育ちますが、ふたりは血のつながった親ではありません。「10年」という期限付きで拓実くんを預かっている里親なのです。
物語が始まる現在、拓実くんは14歳。
あと半年で実の母親のもとへ戻り、岸根家とはもう会えなくなる
――そんな切ない「別れ」のタイムリミットがすぐそこまで迫っています。
子どもは親を選べず、どこで暮らすかも、誰と別れるかも自分では決められない。
本書は、実の親と暮らせない子どもを一定期間育てる「養育里親」という現実の制度を通して、
子どもの心の葛藤をそっと丁寧に描き出しています。

子供の頃は自分だけでは生きていけないし
不安でいっぱいだったの思い出したよ。
『パルティータを鳴らすまで』の3つの見どころ・魅力
① 傷つかないために心を閉ざす、14歳の少年の心理描写
別れを目前にした拓実くんは、これ以上傷つかないために、とても気を遣いながら生きています。
- 友達を作らない(別れるときにつらくなるから)
- 荷物を増やさない(思い出を捨てるのが惜しくなるから)
- 里親にも甘えすぎない(いい子でいようとする)
「どうせ別れるなら、最初からいらない」と自分に言い聞かせる彼の姿は、
読んでいて何度も胸が締め付けられます。
しかし、心の奥底にある「揺れ」や、あふれそうになる感情が丁寧に描かれているからこそ、
彼が一歩を踏み出そうとする姿に心からエールを送りたくなります。
② 言葉の代わりとなる「バイオリン(音楽)」の役割

うまく言葉にできない拓実くんにとって、バイオリンはもうひとつの「声」です。
つらいとき、感情が溢れそうになったとき、彼はそっと弓を手に取ります。
里父の工房に満ちる楽器の音や、木のあたたかい匂い。
その空間は拓実くんにとっての逃げ場所であり、唯一のよりどころでもあります。
タイトルにある「パルティータ」には「出発」という意味も込められており、
音楽に乗せて描かれる希望の光が、物語のラストに向けてじんわりと効いてきます。
③ 拓実の心をほどく、魅力的な登場人物たち
本作は、拓実くんをとりまく周囲の人々の存在感も大きな魅力です。
- 里父・央太郎さん:不器用ながら、いつも温かく見守ってくれる弦楽器職人
- おじいさん:「赤の他人だ」と言いつつ、どこか拓実を気にかける演奏家
- 谷田さん:親身になって寄り添う児童相談所の職員
- 果鈴(かりん)ちゃん:「自分で幸せになる」という強い言葉を持つ幼なじみ
- 八木沢(やぎさわ)くん:クラスの人気者で、拓実とは正反対の同級生
特に同級生の八木沢くんは、悩みを持つのは里子だけではないこと、
誰にでもそれぞれの事情があることをまっすぐな言葉で教えてくれ、
拓実の世界を優しく広げてくれます。

大人も子供も誰でも悩みはあるけど
安心して暮らせたらいいのにね。
『パルティータを鳴らすまで』はどんな人におすすめ?
本書は、以下のような方に特によりそってくれる作品です。
- 10代の中高生(主人公と同世代のリアルな葛藤に共感できる)
- 子育て中の親御さん(家族のあり方や子どもの幸せについて考えさせられる)
- 本当の気持ちを言えずに、我慢しがちな人
- 別れや環境の変化を前にして、心がざわついている人
- 「養育里親制度」に関心がある、または詳しく知りたい人
文章がとても優しく読みやすいため、中学生へのプレゼントや、
親子で読んで感想を語り合う一冊としても非常におすすめです。
📚 次に読むならこの本もおすすめ
『パルティータを鳴らすまで』のように、
「過酷な運命の中で、自分の生き方を見つける子ども」を描いた作品をもう一冊ご紹介します。
【関連記事】光と優しさに包まれる感動の物語『とわの庭』|小川糸
- あらすじのヒント:
母親とふたり、外界から遮断された庭で育った盲目の少女「とわ」。
ある日突然、母親がいなくなり、彼女はたった一人で過酷な現実に直面することになります。 - おすすめの理由:
前半の胸が締め付けられるような展開から一転、
後半は「世界はこんなにも優しさに満ちているんだ」という希望の光に包まれます。
拓実くんが周囲の人の言葉で心をほどいていったように、
とわの心を救うのもまた、名前も知らない人々のあたたかい手です。
悲しみの先にある、生きていくことの「喜び」を教えてくれる一冊です。
ぜひ、あわせて読んでみてください🐱
読後の感想:何度も泣いてしまった理由と、心に残るメッセージ
結論から言うと、私はこの本を読んで何度も何度も泣いてしまいました。
親が何度も変わってしまう拓実くんの苦しさ。
心がギリギリの状態で、それでも一緒に暮らそうとする実の母親の覚悟。
10年間注いだ愛情を手放さなければならない里親夫婦のつらさ。
どの登場人物の視点に立っても胸が締め付けられますが、
一番心を動かされたのは、やはり拓実くん自身の成長です。
何もかもを諦めていた男の子が、
別れを前にして、ようやく「欲しい」「会いたい」「続けたい」という本当の気持ちと向き合い、自分の言葉で伝えられるようになります。
その姿に、読者である私たちも大きな勇気をもらえます。
「別れは、つながりが消えることじゃない。
一緒に過ごした思い出は、ちゃんと自分の中に残っていく」
そんな温かいメッセージが、読み終えたあとも胸に深く残り続けます。

自分の素直な気持ちを
伝えれる人が一人でもいたらいいね。
まとめ:一人静かな夜に、作中の音楽とともに読んでほしい一冊
『パルティータを鳴らすまで』は、通勤・通学の合間に少しずつ読むのも良いですが、
できれば「一人になれる静かな夜」にゆっくりと読んでほしい一冊です。
可能であれば、作中に出てくる「パルティータ(バッハなど)」
の楽曲をBGMとして流しながらページをめくってみてください。
音楽と物語が重なり合い、より忘れられない贅沢な読書時間になるはずです。
私自身、読み終えたあとに思わず曲を探して聴き入ってしまいました。
別れの先にも、ちゃんとした希望の光はある。
そう信じさせてくれる、本当に素敵な物語でした。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました🐱
あなたの読書時間が、どうぞ温かい時間になりますように。

パルティータを聴きながら拓実〜って
泣きながら応援しっちゃったよ。

イヤホンで聞かないで
僕にも聞かせて欲しかったな。
なんか違う涙が出てきたよ😢
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『パルティータを鳴らすまで』は、各ストアで詳しく見られます!
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