1. 『変な家』雨穴|奇妙な間取りが導く“家の怖さ”とは?
オカルト専門のフリーライターである“筆者”が、知人から「相談したいことがあるんだけど」と声をかけられるところから、この物語は始まります。差し出されたのは、購入を検討しているという一軒家の間取り図。しかし、その図面には一目見ただけで気になる点がいくつもありました。
1階には用途不明の謎の空間、2階には窓のない子ども部屋。設計の意図がまったく読めず、見れば見るほど不気味さが増していきます。「何のために、誰が、こんな家を?」
2. 興味本位で始めた調査が深い闇へとつながっていく
その奇妙な間取りに惹かれた“筆者”は、記事にして情報を集めようと調査を始めます。すると、思いがけない人物が現れます。「その家で、夫が殺されたかもしれないんです」と語る女性。
やがて、売りに出されている別の物件の中にも、似たような間取りの“変な家”が存在していることが判明。“筆者”はその構造的な共通点に着目し、さらに深く調べていくことになります。
3. 祖父の家の記憶と、女の告白がつなぐ点と点
やがて登場するのが、情報提供者の女。その女は、実は奇妙な家に住んでいた女性の妹でした。
彼女の話を聞いているうちに“女”の記憶の中にあった幼い頃に訪れた祖父の家の間取りも、どこか似た違和感を孕んでいたことを思い出します。懐かしい記憶と現在の奇妙な物件が、見えない線でつながっていく瞬間です。
4. 浮かび上がる家の目的と、人の心に潜む闇
調査を進めていく中で、筆者と知人の設計士はある仮説にたどり着きます。この家は、ある目的のために意図的に設計されたのではないか?
その直後、近隣で変死体が発見され、仮説は現実味を帯び始めます。家の構造、空間の使い方、そしてその背後にある人間の心理や記憶──“家”という存在が持つ怖さが、じわじわと明らかになっていくのです。
5. 読みやすく、それでいて深く刺さる構成
本作は、全編が会話形式で進むため非常に読みやすく、普段あまり本を読まない人でも物語に入りやすくなっています。それでいて、随所に伏線が張られており、後半になるほどその意味が効いてくる構成は見事です。
最後には大きな“もう一波乱”が用意されており、「この話は一体どこへ向かうのか?」という緊張感を保ったまま、物語は衝撃のラストへと向かっていきます。
6. 『変な家』はどんな人におすすめ?
この作品は、日常に潜む違和感や謎に惹かれるホラー・ミステリー好きにぴったりです。華々しい展開やジャンル的派手さは控えめながらも、不気味さや静かな恐怖、そして空間に潜む心理的な圧をじっくり味わいたい人におすすめできます。
特に、日常から少しだけ離れて非日常を味わいたい夜や、ゾクゾクする感覚に身を委ねたいときに読むと、より深く物語に浸れるでしょう。
7. 読後に残るのは、“間取り”が呼び起こす想像力
「家」というごく身近な存在をテーマに、そこに潜む謎や恐怖を描いた本作。読了後も、ふと他人の家の間取りを見たときに「何かあるのでは?」と考えてしまうかもしれません。
家の間取りに秘められた物語を覗き見る感覚。恐怖と好奇心の間に揺さぶられるような、唯一無二の読後感を与えてくれる作品です。
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