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生きていると、自分のいる環境や人間関係に、
どうしようもない息苦しさを感じることってありませんか。
テレビのニュースを見ていて、ふと心の奥底にどす黒い感情が湧き上がる自分に気づいて、
戸惑うこともあるかもしれません。
今回ご紹介する本は、そんな私たちが心の奥に隠し持っている「闇」や「悲鳴」に、
真正面から向き合ったミステリー作品です。
読み進めるのがしんどくなるほど、重くて痛い。
けれど、ページをめくる手が止まらず、
登場人物たちの心の叫びに耳を傾けずにはいられなくなる。
そんな、人間の業の深さに触れるような一冊をご紹介します。
繋がる二つの事件。東京と過去の北海道が交錯するミステリー
華やかな東京のバーベキュー会場で起きた悲劇。
それが、14年前の遠く離れた田舎町の事件へと繋がっていきます。
物語の入り口は、東京・豊洲のバーベキュー場で起きたヒ素混入事件です。
被害に遭ったのは、資産家や社会的地位のある、いわゆる恵まれた環境にいる人たちばかり。
容疑者の男は取り調べで明確な動機を語らず、ただ「ざまあみろって思ってます」と口にします。
新聞記者の勝木は、この事件で使われたヒ素が、
14年前に北海道の小さな町で起きた一家毒殺事件――通称「レッドクローバー事件」で使われたものと全く同じ成分であることに気づきます。
当時、家族を殺され唯一生き残った長女はどうなったのか。
勝木が過去の事件を掘り起こすにつれ、現在と過去、東京と北海道の閉鎖的な町が交差し、
見えなかった真実が少しずつ浮かび上がってきます。

ヒ素は愚者の毒って
言われてるんだって。
「親」という呪縛。閉鎖的な町で連鎖する負の感情

この物語の最も恐ろしくて哀しい部分は、親子の関係と、逃げ場のない環境の生々しい描写です。
作中には、何人もの母親が登場します。
でも、彼女たちは自分の人生に対する不満や怒りを抱え、
子どもよりも自分を優先してしまう、不器用で身勝手な親たちばかりなのです。
「こんなはずじゃなかった」 母親たちのその燻るような思いが、
過疎化の進む閉鎖的で排他的な田舎町の空気と混ざり合い、
ドロドロとした悪意に変わっていきます。
大人の放った心ない言葉や、冷たい態度が、
透明だったはずの子どもの心に真っ黒な影を落としていく様子は、
読んでいて本当に息が詰まりそうになります。
子どもは親を選べない。
その事実が、これほどまでに重くのしかかる作品はなかなかありません。

子を愛さない親はいるけど
親を愛さない子供はいないんだよ。
この本はこんな人におすすめです
決して明るいお話ではありませんが、だからこそ深く心に刺さるものがあります。
・おすすめの年代
30代〜50代の大人世代。特に、人間関係の複雑さやしがらみを知っている方。
・こんな悩みを持つ人に
親との関係に、言葉にできない息苦しさを感じたことがある人。
閉塞感のある環境から抜け出したいと悩んでいる人。
理不尽なニュースを見て、やりきれない気持ちになることが多い人。
・読みたいシーンや気分
夜、ひとりでじっくりと活字の世界に没入したいとき。
人間の深い心理を描いた、骨太で読み応えのあるミステリーを求めているとき。
きれいごとだけではない、人間の本当の姿に触れたいとき。
・読後に得られる気づき・変化
自分の心の奥底にある感情を、否定せずに見つめ直すことができる。
周りの人や、身近な子どもに対して、少しだけやさしい言葉をかけたくなる。
「理不尽な世界の中で、どう生きるか」を立ち止まって考えるきっかけになる。
あわせて読みたい!人間の業と転落を描いたおすすめ作品
『レッドクローバー』で描かれるような、人間のドロドロとした醜さや嫉妬、
他人の失敗を見てしまう暗い感情に惹き込まれた方には、こちらの作品もぴったりです。
真梨幸子さんの『あいつらの末路』は、
婚活やマウント、見栄や嫉妬に狂わされた女性たちの悲惨な運命と、
過去の殺人事件が緻密に絡み合う極上のイヤミスです。
「他人の転落を見届けたい」という浅ましい欲求や、
先が読めない不穏なミステリー展開が好きな方は、ぜひあわせてチェックしてみてください。
「殺される前に殺す」という悲痛なSOS
過激な言葉の裏にあるのは、憎しみではなく、愛されたいという切実な願いでした。
物語の中で何度も出てくる「やられる前にやる」「殺される前に殺す」という言葉。
一見すると恐ろしい感情ですが、読み進めるうちに、
それが子どもたちからのギリギリのSOSの叫びなのだと気づかされます。
彼女たちは、誰かに危害を加えるずっと前に、
一番身近な大人たちによって「心を先に殺されて」いました。
世界中から拒絶されたと感じている子どもが、
自分から明るい希望を持つことは本当に難しいことです。
子どもが本当に求めているのは、復讐なんかじゃなくて、ただ親から愛されること。
親を憎みきれないからこそ、さらに苦しんでしまう子どもたちの姿に、胸が締め付けられます。 そして、最後に待ち受ける衝撃の真実。
誰が本当に悪いのか、わからなくなるような展開に、
それまでの景色がぐるんとひっくり返る感覚を味わうはずです。

自分しか自分のことを
守ってあげられないんだよ…
私たちの心の奥底にある「ざまあみろ」という感情

目を背けたくなるような人間の欲求。
でも、それは私たちの中にも確実にあるものです。
「不幸な人は、より不幸な人を探そうとする」 作中に登場するこの言葉が、とても象徴的でした。
自分に直接関係のないニュースを見ながら、他人の失敗や転落を見て、
心のどこかでほんの少し「ざまあみろ」と思ってしまう。
SNSで誰かをバッシングして、正義の鉄槌を下したような気分になってしまう。
著者は、そんな人間が隠しておきたい醜い欲求や、
環境が人を歪ませていく様を、鋭くえぐり出しています。
特別な誰かだけが怪物なのではなく、誰もが加害者にも被害者にもなり得る。
そんな人間の業の深さを、まざまざと見せつけられました。

安全な場所から石を
投げるのは卑怯なことだよね。
読み終えて感じたこと
本を閉じた後も、登場人物たちの声がずっと耳から離れませんでした。
私は、親に心を先に殺されてしまった子どもたちの姿に、ただただ胸が痛くなりました。
私自身、親として子育てをする中で、これまでに自分の何気ない一言が、
子どもの心を深く傷つけていなかっただろうかと、ひどく怖くなったのを覚えています。
普段、人と直接関わるのが少し苦手で臆病な私ですが、
こうして本を通して人間の深い部分に触れると、
見えない誰かの痛みに寄り添いたいと強く思います。
憎しみが連鎖する環境の中で、彼女たちがもし、事業で成功して見返すなど、
別の形で「やり返す」ことができていれば、少しは違う未来があったのかもしれないと、
何度も想像しました。
でも、あの閉ざされた世界では、それすら許されなかった。
その絶望の深さに、心が押しつぶされそうになりました。
重く、苦しい読書体験でしたが、人間の弱さも醜さもすべて描き切ったこの本に出会えて、
本当によかったと感じました。
理不尽な世界の中で、誰かの心に寄り添うことの大切さを、痛いほど教えてくれる一冊でした。

僕のおやつを食べる犯人を捕まえるために
マタタビをふりかけておくよ。

食べられる前に食べてやる。
ってなんか酔っ払ってきちゃったよ。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『レッドクローバー』は、各ストアで詳しく見られます!
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