『カフネ』感想|泣ける・癒される小説を深夜に読みたい人へおすすめの一冊

小説『カフネ』感想|深夜に泣ける、料理と再生を描いた感動ヒューマンドラマ 本の紹介

夜中にふと読みたくなる、優しくて、ちょっと泣けて、心がじんわり温かくなる小説を探していませんか? 今回は、阿部暁子さんの感動小説『カフネ』をご紹介します。弟の死をきっかけに動き出す姉と、弟の元恋人との再生の物語。読み進めるごとに胸が熱くなり、深夜に読むには最高の一冊です。

1. 『カフネ』のあらすじ

物語は、野宮春彦が亡くなったところから始まります。遺言書に記されていたのは、かつての恋人・小野寺せつなの名前。姉の薫子は遺産を届けようと連絡しますが、せつなはそれを拒否します。

薫子自身も、夫・滝田公彦との離婚後、アルコールに依存し生活が荒れていました。そんな中、せつなが作った料理を食べたことで、少しずつ心と身体がほぐれていきます。

やがて薫子は、せつなが働いている家事代行と食事提供のボランティア「カフネ」を手伝うようになり、人の生活を支える仕事に関わっていきます。

2. 深夜に沁みる“食”の描写と癒し

本作の大きな魅力は、何といっても“食べること”を通じて癒される描写の数々です。夜中に読むとお腹が空いてしまうほど、せつなが作る料理がリアルに描かれています。

「人が誰かのためにごはんを作る」という、当たり前で見落としがちな優しさが、本作では最大限に力を持っています。

3. 変化していく人間関係のリアリティ

登場人物たちは、最初の印象からどんどん変わっていきます。特にせつなは、序盤では何を考えているのか分からず、どこか不気味ささえ感じる存在。しかし、物語が進むにつれて、その優しさや傷つきやすさが明らかになり、読者の心を掴んで離しません。

人は、数ページで語れるほど単純ではない。だからこそ、ゆっくり歩み寄る姿が尊く見えるのです。

4. 泣けるだけじゃない、考えさせられる構成

『カフネ』には、死、孤独、再生、家族、食、出産、そして社会的な困難など、さまざまなテーマが散りばめられています。それらは決して“詰め込み”ではなく、物語の必要な要素として丁寧に紡がれています。

特に印象的なのは、「本当に困っている人ほど、それが見えにくい」という気づき。読者は薫子とともに、人の内面を理解することの難しさに向き合わされます。

5. どんな人におすすめか

この物語は、以下のような読者に特におすすめです:

  • 深夜に静かに読書を楽しみたい人
  • 癒しと涙のある人間ドラマが好きな人
  • ごはん・料理がテーマの小説が好きな人
  • 現代社会の中での「生きづらさ」に共感する人
  • 家族や他人との距離感に悩んでいる人

人の優しさが沁みる小説が読みたい夜に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

6. 読了後の気づきと余韻

この作品を通して、「人は変われる」「誰かの力になれる」と思えることが、どれほど生きる希望になるかを実感しました。

また、他人の痛みや家庭の事情は、本人が語らない限り見えないもの。だからこそ、“お節介”と“寄り添い”のバランスの大切さにも気づかされました。

読みやすく、それでいて深く考えさせられる構成、終盤の真相が明かされていく展開のスピード感、そして希望が見えるラスト。

夜中に読むのにぴったりの、静かであたたかい再生の物語でした。

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