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『世界99 上』を読むと、あなたの「モヤモヤ」に名前がつく
「場所によってキャラが違う自分がいる」
この言葉を読んだとき、
私はちょっとだけドキッとしました。
家ではわりと無口なのに、
職場では愛想よく笑っている自分。
友達の前では強気なのに、
ひとりでスマホを見ているときはやけに弱気だったり。
どれも嘘じゃない。
でも、どれが本当かと聞かれると、ちょっと困る。
『世界99 上』を読んでいるあいだ、
私は何度も「うわ、やめて」と思いました。
だって、主人公の空子がやっていること、
少しだけ身に覚えがあるから。
空気を読んで、
相手の言葉をなぞって、
その場にぴったり合う自分を差し出す。
それって、生きるための技術でもある。
でも同時に、
どこかで自分を削っている感じもする。
この小説は、その感覚を
容赦なく、しかもものすごく具体的に描きます。
読んでいて苦しくなる。
なのに、目が離せない。
「これ、私のことかもしれない」
そう思ってしまう瞬間が、何度もあるからです。
性格のない主人公、如月空子
主人公・如月空子は、子どもの頃から「真っ白」だと言われて育ちます。
周りの人の反応を見て、
その場に合う言葉を選び、
その場に合う態度を身につける。
幼稚園では「お姉ちゃんらしい子」。
家では別の顔。
学校ではまた違う名前で呼ばれる。
空子は、周囲の人を“トレース”し、“呼応”して生きていきます。
それは多重人格というより、
私たちが日常で無意識にしていることを、極端に可視化した姿。
だからこそ、怖い。
「私は本当はどう思っているんだろう」
そう問いかけられている気がします。
ピョコルンという存在が映すもの

物語に登場する愛玩動物「ピョコルン」。
かわいらしい名前とは裏腹に、
この存在は読者の心をざわつかせます。
最初は、ただの愛玩動物のように見える。
かわいくて、無害で、
そこにいるだけの存在。
でも物語が進むにつれて、
その役割は少しずつ変わっていく。
気づけば、“便利な存在”として
当たり前のように扱われている。
その変化が、じわじわと怖い。
小説の中の出来事のはずなのに、
どこか現実と地続きに感じてしまう。
女性の体や、労働や、
搾取や差別のことまで、
つい考えてしまう。
ピョコルンは、社会のゆがみを映す鏡のように思えてくる。
目を背けたくなるのに、
ページを閉じきれない。
読み終えたあとも、
その姿が頭から離れない。
世界はひとつじゃない
物語が進むにつれ、空子は複数の「世界」を生きます。
地元の友人たちとの世界。
スピリチュアルで明るい美容の世界。
思想に満ちた別のコミュニティ。
そして夫との閉じた世界。
同じ時間を生きているのに、
価値観も正義も、まるで違う。
ある世界では常識。
別の世界では異常。
読んでいると、
今の社会と重なります。
SNSを開けば、
まったく違う「正しさ」が並んでいる。
私たちも、知らないうちに
世界①、世界②、世界④……と行き来しているのかもしれません。
空子が「スマホのバックグラウンド」のようだと例える場面があります。
それがあまりにも的確で、ぞくっとしました。
誰におすすめの本か
この本は、こんな人に読んでほしいです。
・10代後半から40代くらいまで、自分の居場所に迷う人
・職場や家庭で「本当の自分」を出せないと感じている人
・SNSに疲れている人
・差別やジェンダーの問題に関心がある人
・刺激的で、考えさせられる物語を求めている人
気分で言えば、
・モヤモヤしているとき
・世の中が怖く感じるとき
・でも、逃げずに向き合いたいとき
そんなタイミングにぴったりです。
人に合わせすぎてしまう空子の姿に苦しくなった人には、
黒澤いづみ『人間に向いてない』もあわせて読みたくなるかもしれません。
みんなが当たり前にできていることが、なぜかしんどい。
そんな主人公が描かれていて、別の角度から生きづらさを考えさせてくれます。
どんなシーンで読みたいか
・通勤電車の中で、イヤホンを外して物語に集中したいとき
・夜、家族が寝静まったあとの静かな時間
・気持ちが少し疲れて、現実から距離を取りたいとき
・自分の生き方を考え直したいとき
特に夜に読むと、
このディストピアの空気がぐっと濃くなります。
怖い。
でも知りたい。
そんな気持ちになります。
読後に得られる気づき

読み終えたあと、
気持ち悪くなる人もいると思います。
正直、私も少ししんどかった。
でも、不思議なんです。
嫌なのに、
続きが気になる。
怖いもの見たさ、という言葉がいちばん近いかもしれません。
・自分も誰かに合わせて生きていると気づく
・正しさはひとつではないと実感する
・差別や搾取が、他人事ではないと思える
・「それでも生きていくしかない」と腹をくくれる
そして何より、
「どの世界の自分も、私だ」
そう思えたとき、
少しだけ心が軽くなります。
完璧な自分なんていない。
でも、その不安定さこそが人間なのかもしれない。
下巻が怖い。でも、読みたい
上巻のラストは衝撃的です。
目を覆いたくなるのに、
もう一度確かめたくなる。
ここからどんな世界が待っているのか。
救いはあるのか。
怖い。
でも、知りたい。
それが『世界99 上』の力です。
あなたの中の「世界99」
この物語は、遠い未来の話にも、
架空の話にも見えます。
でもどこか、
今の私たちの足元に重なっている。
会社の飲み会で声のトーンを上げる自分。
内心では辟易している自分。
それを俯瞰しているもうひとりの自分。
もしかしたら、あなたの中にも
すでに「世界99」はあるのかもしれません。
それに気づくだけで、
少しだけ強くなれる気がします。
気持ち悪い。
怖い。
でも面白い。
こんな読書体験、なかなかありません。
もし今、
「本当の自分って何だろう」と思っているなら。
ぜひ一度、この世界をのぞいてみてください。
読み終えたとき、
あなたの世界の見え方が、少しだけ変わっているはずです。
そしてきっと、
下巻を手に取らずにはいられなくなります。
個人的な『世界99 上』感想
読みながら、今の自分は、本当の自分なのか。
そんなことを考えていました。
空子の「呼応」や「トレース」という生き方は、
極端なはずなのに、
どこか他人事に思えませんでした。
仕事で、相手に合わせて話し方を変えること。
場の空気に合わせて、少し大きめに笑うこと。
あとから「あれ、本心だったかな」と考えてしまうこと。
私も、やっているな、と気づきました。
そう思った瞬間、
恥ずかしいような、何とも言えない気持ちになりました。
もしかして、
私もずっと“うまくやろう”としていただけなのかもしれない。
不自然なのではなく、
必死だっただけなのかもしれない。
そう考えたとき、
少しだけ自分を許せる気がしました。
ピョコルンの存在は、正直、怖かったです。
でももっと怖いのは、
誰かを「便利な存在」として使うほうが楽かもしれない、と
一瞬でも思ってしまう自分のほうでした。
そしてラストの展開は衝撃的でした。
驚いたし、
正直、ぞっともしました。
下巻でこの世界がどう壊れていくのか、
少し怖い気持ちもあります。
それでも、やっぱり読みたい。
この感情ごと、続きを知りたい。
そんな読書でした。
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