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この本を読むことで得られるものは、とてもシンプルです。
「マンションに住むとはどういうことか」
そして
「人は、過去や執着をどう手放すのか」
正直、タイトルはかなり攻めています。
思わず二度見してしまうし、少しふざけた話なのかと思ってしまう。
でも、読み進めるうちに気づきます。
これは笑える話ではなく、
現実に起こり得る、そして多くの人がいつか直面する問題を描いた物語だと。
「おっぱいマンション」という名前の裏にあるもの

物語の中心にあるのは、かつて一世を風靡した建築家・小宮山悟朗が建てたデザイナーズマンション。
正式名は「メタボマンション」。
細胞を積み上げたような外観。
丸い窓。
最上階は円錐形。
その姿があまりに独特だったため、
いつしか住民や周囲から
「おっぱいマンション」
と呼ばれるようになります。
奇抜で、芸術的で、時代の象徴だった建物。
しかし年月が経ち、老朽化が進み、
雨漏り、カビ、耐震性といった問題が次々に表面化していきます。
そこで持ち上がるのが、
改修か、建て替えか、保存か
という避けて通れない議論です。
住民それぞれの事情が、話をややこしくする
この物語が面白いのは、
誰ひとりとして単純ではないところです。
・かつて建築家に憧れ、人生を狂わされた市瀬清
・建築家の娘として生きてきた小宮山みどり
・小宮山悟朗の名を守りたい小宮山デザイン事務所の岸田
・自分の居場所を失いたくない元女優・奥村宗子
・家族や結婚、将来に不安を抱える人たち
誰もが「自分なりの正しさ」を持っています。
でも、その正しさは、他人にとっては迷惑だったり、身勝手だったりする。
マンション問題は、
建物の話であると同時に、人間関係の話なのだと、
嫌というほど伝わってきます。
建て替え問題は、決して他人事ではない
「マンションの改修争議なんて、まだ先の話」
そう思っている人ほど、この本は刺さるかもしれません。
・修繕費は誰がどこまで負担するのか
・全員が同じ方向を向くことはできるのか
・思い出や感情は、どこまで尊重されるべきなのか
・芸術的価値は、住民の安全より優先されるのか
読みながら、何度も考えさせられます。
もし自分がここに住んでいたら?
自分なら、壊すと言えるだろうか?
デザイナーズマンションの「光」と「影」

この作品を読んで、
「おっぱいマンション」という極端な存在を通して、
デザイナーズマンションへの見方が少し変わりました。
おしゃれ。
個性的。
住んでみたい。
作中に登場するおっぱいマンションも、
かつては「時代の最先端」「芸術的建築」としてもてはやされた建物です。
けれど物語が進むにつれ、
その魅力の裏側にある現実が、少しずつ見えてきます。
・維持することの難しさ
・修繕をめぐる話し合いの複雑さ
・設計者の思想が強すぎるがゆえの住みにくさ
デザインが良くても、
住む人の生活に合わなければ、それは問題になる。
このマンションは、そのことをはっきりと突きつけてきます。
さらに最上階には、
住民にすら知らされていなかった
公にできない“秘密”が隠されていました。
美しさを優先した結果、
危うさを抱え込んでしまった建物。
おっぱいマンションは、
「美しさと危うさは紙一重なのだ」
ということを、これ以上ない形で教えてくれる存在だったように思います。
誰におすすめの本か
こんな人におすすめです
・30代後半〜60代
・分譲マンションに住んでいる、または購入を考えている人
・修繕積立金や建て替え問題に不安がある人
・人間関係が絡む話し合いに疲れたことがある人
・「正解のない問題」に向き合う物語が好きな人
こんな気分のときに
・軽く読めそうだけど、読み応えも欲しい
・社会派すぎる話は苦手だけど、現実的な物語を読みたい
・人の感情や執着をじっくり味わいたい
住まいをめぐる問題は、マンションだけの話ではありません。
老後の「住む場所」を考えたときに思い出したのが、
ルポ超高級老人ホーム(甚野博則 著)です。
こちらもまた、住む場所が人生を大きく左右する現実を突きつけてくる一冊でした。
読後に残るのは、「壊す・残す」以上の問い
読み終えて強く残ったのは、
「人は、何にしがみついて生きているのか」
という問いでした。
・過去の栄光
・若い頃の憧れ
・失敗した人生のやり直し
・失いたくない思い出
それらがすべて、
建て替え問題にすり替えられていく。
壊したいのは、建物なのか。
それとも、自分の過去なのか。
そんなことを、静かに考えさせられます。
小宮山親子という、強烈な存在
この物語で際立つのは、
建築家・小宮山悟朗と、その娘・みどりの存在です。
周囲の人生を大きく揺さぶりながら、
本人たちはどこか距離を保ったまま、
淡々としているようにも見えます。
そして物語が進むにつれ、
建て替えに反対する岸田の言動にも、
少しずつ違和感がにじみ出てきます。
それは単なる「建物への思い」だけでは説明できないもの。
読んでいるうちに、
人が何を守ろうとするとき、どこまで正直でいられるのか
考えさせられました。
よくわからなかった、でもそれでいい
正直に言うと、
「完全に理解できた」とは言えません。
登場人物は多いし、
事情は複雑だし、
気持ちの整理が追いつかない部分もあります。
でも、それでいいのだと思います。
現実のマンション問題も、人生も、
そんなふうにスッキリしないものだから。
まとめ:静かに心に残る、大人の群像劇
『おっぱいマンション改修争議』は、
タイトルのインパクトとは裏腹に、
とても地に足のついた物語です。
住むということ。
壊すということ。
手放すということ。
そのどれもが、
簡単ではないと教えてくれます。
読後、
自分の住まいを少し見回してしまう。
そんな一冊でした。
📖
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