『フォルトゥナの瞳』感想|恋と人生のあいだで揺れる選択が苦しい

『フォルトゥナの瞳』百田尚樹|恋と人生の選択に揺れる小説の書影

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この本を読むことで、得られるもの

もしある日、突然、まわりの人の寿命がわかるようになったら
それが避けられない未来だとしたら。
そして、その未来に干渉するたびに、自分の身体が傷ついていくとしたら。

『フォルトゥナの瞳』は、
そんな極端で、でもどこか現実と地続きの問いを、私たちにそっと投げかけてくる物語です。

この本を読むことで得られるのは、
答えの用意された教訓ではありません。

・自分の幸せを優先していいのか
・誰かのために、どこまで自分を差し出せるのか
・人生の選択に「正解」はあるのか

そういった、普段は心の奥にしまっている気持ちと、静かに向き合う時間です。

「最近、少し疲れている」
「人のことばかり考えて、自分が置き去りになっている気がする」
そんなときに、この物語はそっと寄り添ってくれます。


『フォルトゥナの瞳』は、どんな物語か

人の体が透けて寿命が見えているイメージ画像

主人公は、木山慎一郎。
幼い頃に火事で家族を失い、施設で育った青年です。

彼は特別な成功を収めているわけでも、
人に囲まれて生きてきたわけでもありません。

自動車のコーティング工場で、
目立たず、黙々と働く、ごく普通の28歳。

そんな慎一郎が、ある日、人の身体が透けて見えるという異変に気づきます。

最初は手だけ。
やがて、全身が透けている人までも現れる。

そして彼は知ってしまいます。
それが「死が近い人」だということを。

この物語が苦しいのは、
慎一郎がヒーローではないからです。

怖がるし、迷うし、逃げたくもなる。
それでも目の前で起きる出来事から、目をそらしきれない。

その姿が、とても人間らしくて、
だからこそ読者は、何度も心を掴まれます。


誰におすすめの本か

この本は、次のような人におすすめです。

・20代後半から40代で、人生の選択に迷っている人
・仕事や人間関係で、「自分ばかり我慢している」と感じている人
・誰かのために生きたい気持ちと、自分を守りたい気持ちの間で揺れている人
・感動するだけでなく、あとからじわじわ考えたくなる本が好きな人

特に、「もし自分だったらどうするだろう」と考えるタイプの人には、
強く刺さる一冊だと思います。

慎一郎の迷いは、そのまま読者の迷いになります。
「共感しすぎて、しんどい」と感じる場面もあるかもしれません。

でもそれは、この物語が真剣に生きる人の感情を、
雑に扱っていない証拠でもあります。


自分の幸せよりも、誰かの未来を願ってしまう主人公の選択に心が揺れた方には、
新海誠『天気の子』もおすすめです。
世界よりも大切な人を選ぶことの重さが、胸に残る物語でした。

どんな気分のときに読みたくなる本か

この本は、元気いっぱいなときよりも、
少し立ち止まりたいときに向いています。

・人の優しさや冷たさに、疲れてしまったとき
・自分の選択が正しかったのか、わからなくなったとき
・誰にも言えない不安を、胸に抱えているとき

そんなときに読むと、
「悩んでいいんだ」と思わせてくれます。

無理に前向きにならなくてもいい。
答えを急がなくてもいい。

そう言われているような、
不思議な安心感があります。


どんなシーンで読みたいか

生活の中で読むなら、こんな場面が浮かびます。

・通勤や通学の電車の中
・夜、ひとりで静かに過ごす時間
・スマホを置いて、本を開きたくなった休日
・心がざわついて、眠れない夜

特に電車の中で読むと、
作中の情景と現実が重なって、少し息が詰まるかもしれません。

でも、その感覚こそが、この本の力だと思います。


この物語が描いている、本当のテーマ

車のコーティング工場のイメージ画像

『フォルトゥナの瞳』は、
「人を救う話」では終わりません。

描かれているのは、

・善意が報われないこと
・正しい行動が、必ずしも幸せにつながらないこと
・誰かを救う選択が、別の誰かを傷つける可能性

そして何より、
自分の人生をどう生きるかという問いです。

人を助けることは尊い。
でも、自分を犠牲にし続けてまで、それを選ぶべきなのか。

慎一郎は、その答えを簡単に出しません。
だからこそ、読者は置いていかれず、
最後まで一緒に悩むことになります。


読後に得られる気づき・変化

読み終えたあと、
すぐに気持ちが晴れるわけではありません。

でも、こんな変化が、少しずつ訪れます。

・日常の選択を、少しだけ大切に考えるようになる
・目の前の人との時間を、当たり前だと思わなくなる
・「完璧じゃなくてもいい」と思える瞬間が増える

自分の幸せは、誰かの犠牲の上にあるのか。
それとも、誰かを想うことでしか得られない幸せがあるのか。

この物語は、答えを教えてくれるわけじゃありません。
読み終わったあと、
「自分ならどうするだろう」
その問いだけが、手元に残ります。


読み終えたあと、正直に思ったこと

もし自分が、
大切な人の身体が透けて見える目を持ってしまったら。

正直、耐えられないと思います。
怖くて、逃げたくて、何も見なかったふりをしてしまうかもしれません。

だからこそ、
慎一郎の選択は、尊くて、同時に苦しい。

「自分だったら、ここまでできない」
そう思ってしまう自分を、責めなくていい。

この物語は、
人の弱さも、迷いも、ちゃんと物語の中心に置いてくれます。


まとめ:人生の分かれ道で、そっと読みたい一冊

『フォルトゥナの瞳』は、
派手な奇跡を描く物語ではありません。

その代わりに、
生きることの重さと、選ぶことの痛みを、
丁寧に、誠実に描いています。

読後、すぐに答えは出なくてもいい。
ただ、「自分の気持ちを少し大切にしよう」と思えたなら、
それだけで、この本を読む意味は十分です。

もし今、
人生に迷いを感じているなら。
誰かのために生きることに、疲れてしまったなら。

この本は、
あなたの隣で、そっと寄り添ってくれる一冊になると思います。


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