【感想】『アフターブルー』(朝宮夕)|特殊復元納棺師たちの日常に心揺さぶられる小説

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「死」という言葉の前に、立ち止まってしまうことはありませんか。
身近な人を亡くしたとき。
ニュースで誰かの訃報を目にしたとき。
あるいは、自分の生き方に迷いを感じているとき。
この本は、そんなときに手に取ってほしい一冊です。

朝宮夕さんのデビュー作『アフターブルー』は、損傷の激しいご遺体を復元する
「特殊復元納棺師」たちの物語。
読む前は重たくて怖そう、と感じるかもしれません。
でも読み始めたら、きっと止まらなくなります。

※この記事には核心に触れるような重大なネタバレはありませんので、
未読の方も安心してお読みくださいね。

グロテスクな描写は確かにあります。
でも、ページをめくるたびに胸に残るのは、「生きること」への問いかけなんです。
この記事では、この小説がどんな人の心に響くのか、
読み終えたあとにどんな変化が生まれるのかを、ていねいにお伝えしていきます。

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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「特殊復元」って、なに? 『アフターブルー』で知る新しい世界

納棺師の職場のイメージ画像

この本を読むまで、「特殊復元」という言葉を知りませんでした、という方が多いと思います。

通常の納棺師さんとは少し違う、もっと過酷な現場を担う人たちがいます。
事故や自殺などで、ご遺体の損傷がひどい場合。
そのままでは、家族がお顔を見てお別れできないような場合。
そのとき動くのが、特殊復元を専門とする人たちです。

この物語の舞台は、株式会社CFC(コフィン・フラワー・クリーン)の2課。
課長の有明、元美容師の朝未、ベテランの入相、唯一の女性・八宵、
そして今年入社したばかりの新卒・東雲。
5人がそれぞれの視点で語る、連作短編集の形をとっています。

轢死、餓死、飛び降り自殺、焼死、一家心中——。
こんなにも死に方にバリエーションがあるのかと、正直驚かされます。
そしてその一つひとつに、誰かが丁寧に向き合っていることを初めて知りました。

ネオンくん
ネオンくん

自分の最後なんて
想像もしたくないよね。

5人の納棺師、それぞれが抱えているもの

株式会社CFCの2課に集まった5人は、みんなご遺体と向き合うプロです。
でも、物語を読み進めていくと、
彼ら自身もそれぞれ口には出せない「過去」や「心の迷い」を抱えていることがわかってきます。

章を追うごとに、彼らがなぜこの過酷な仕事を選んだのか、
その背景が少しずつ紐解かれていきます。

完璧に見えるプロフェッショナルたちが、裏で抱えている後悔や喪失感。
彼らの不器用な生き方に触れたとき、きっとどこかに「自分と似た部分」
を見つけてハッとするはずです。

「なぜ、あの人は死んだのか」「私のせいだったのか」「これでよかったのか」
答えの出ない問いを抱えながら、それでも毎日、ご遺体と向き合う。
その姿が、読んでいてじんわりと胸に刺さります。

ゴハンくん
ゴハンくん

この本がきっかけで
働きたい人もいるかもね。

グロテスクなのに、なぜか読めてしまう不思議な魅力

出張先でアフターケアしているイメージ画像

正直に言います。描写は、かなりリアルです。
内臓が出た状態のご遺体に吸収シートを巻きつけて、綿を詰めて、顔の形を整えて——。
文字で読んでいても「うっ…」となる場面があります。

それでも読み進められるのは、文章がとても読みやすいからです。
重たい内容なのに、文体は軽やか。ページが止まりません。
グロテスクな描写の直後に、キャラクターたちの何気ない会話が来たりして、
絶妙に息継ぎができるんです。

「お菓子を食べながら轢死の現場を話題にする」2課のメンバーたちの日常感に、
思わずホッとしてしまう場面もあります。 それが逆に、怖い。
こんな仕事が「日常」になっていくということ。
そこに慣れていくことの、しんどさと尊さを、肌で感じさせてくれます。

ネオンくん
ネオンくん

僕なら絶対にご飯
食べられなくなっちゃうよ。

小説『アフターブルー』はこんな人におすすめ

年齢層でいうと、20代〜40代の方に特に刺さる本だと思います。
でも、生きることに迷いを感じたことがある方なら、何歳でも届く物語です。

こんな気持ちを持っている方に、おすすめしたいです。

  • 大切な人を亡くして、答えのない悲しみの中にいる方
  • 自分の感情をうまく表に出せずに、疲れている方
  • 「普通」に生きることへの違和感を感じている方
  • 誰かのために仕事をしているけれど、その意味に迷っている方

「死」を扱う物語ですが、根っこにあるのは「どう生きるか」という問いです。
だから、死別の経験がない方にも、十分に響く内容になっています。


📖 あわせて読みたいおすすめ小説

『アフターブルー』のように、「死と向き合うお仕事」
を通して生きる意味を問いかける作品が好きな方には、
町田そのこさんの『夜明けのはざま』も強くおすすめします!

こちらは「家族葬専門の葬儀社」を舞台にした連作短編集。不器用ながらもご遺族や自分自身の過去と向き合っていくスタッフたちの姿に、きっと同じように心が揺さぶられるはずです。

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どんなシーンで読みたくなる本か

この本は、夜ひとりで読むのが一番合っていると思います。

仕事で消耗した日の夜。 誰かのことを考えすぎて、うまく眠れない夜。
そういうときに手に取ると、不思議と「自分だけじゃないな」という気持ちになれます。

通勤・通学の電車の中で読むのもOKです。
ただ、電車で涙をこらえるシーンがあるかもしれないので、そこだけ注意してください。
一気読みもできますが、1話ずつ、ゆっくりと間をあけながら読むのもおすすめです。
それぞれのキャラクターの余韻が、深く残ります。

ゴハンくん
ゴハンくん

食事中には絶対
NGだからね。

読み終えたあとに、何かが変わる

この本を読んで、一番心に刺さったセリフを紹介します。

「どんなに考えても、探しても、人が死んだ理由なんて絶対に見つからない」

誰かを失ったとき、残された人はどうしても「なぜ」を探してしまいます。
でもこの言葉が、そっとその重荷を下ろしてくれるように感じました。
「なんで」に答えを求めることをやめていいんだ、と。

読み終えたあと、きっとこんな変化が生まれます。

  • 身近な人の死に対する、見えない罪悪感が少しほどける
  • 「私は私のままでいい」という感覚がじんわり戻ってくる
  • 自分の仕事の意味を、もう一度ゆっくり考えたくなる
  • 誰かに「ありがとう」を伝えたくなる

明確に「救われた!」という感じではないけれど、読み終えたあと、
心の中がすっと整理されるような感覚があります。

ネオンくん
ネオンくん

周りがいろんなこと想像しても
本人の考えは本人しかわからないもんね。

読んで、本当によかったと思いました(感想まとめ)

最後に、私自身の話をさせてください。

この本を読み始めたとき、正直「グロいのは苦手かも…」とためらっていました。
でも読み終えたとき、そんな不安は消えていました。
八宵が東雲に言う「君には、君にしかできないことがある」という場面で、
当たり前のことだけど心が軽くなりました。。
なぜかうまく説明できないけど、自分にも言われているような気がして。

誰かの「最後」を整えるために、毎日を過ごしている人たちがいる。
その事実を、今まで全然考えたことがありませんでした。

読み終えたとき、「こんな仕事をしてくれている人がいるから、ちゃんとお別れできるんだ」と、ただただありがたい気持ちになりました。
そして、今を生きている自分のことも、少しだけ大切にしようと思いました。

『アフターブルー』朝宮夕/著 特殊復元という仕事を、
こんなに深く、こんなに優しく描いた作品に、初めて出会いました。
重くなりすぎず、軽くなりすぎず。
そのバランスが、朝宮さんのデビュー作とは思えないほど見事でした。

読了後、足元を歩くネオンくんやゴハンくんの温もりを感じながら、
なんだか今ある命の尊さをしみじみと考えてしまいました。

ネオンくん
ネオンくん

僕はベットで眠るような
最後になると思うな。

ゴハンくん
ゴハンくん

何言ってんの?
もう死んじゃってるのに。

あらら気絶しちゃった。


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