『深淵のテレパス』感想|怪談から始まる説明できない恐怖

『深淵のテレパス』上條一輝|怪談とミステリーが交錯するホラー小説

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この記事では、
「ホラーは苦手だけど気になる」
「怪談や呪いは信じていないけれど、説明できない話には惹かれる」
そんな人が読んでよかったと思える一冊を紹介します。

今回取り上げるのは
深淵のテレパス

この本で得られることは、とてもシンプルです。

・怖さだけで終わらない読書体験
・「信じない自分」と「怖がる自分」を同時に見つめる時間
・説明できない出来事にどう向き合うか、という問い

ホラーとミステリー、オカルトと現実がほどよく混ざり合い、
読み終えたあとも、ふと考え続けてしまう余韻が残ります。


日常から始まる違和感が、じわじわ広がる物語

オカルト研究会のイベントのイメージ画像

物語は、ごく普通の日常から始まります。
高山カレンは、部下に誘われて大学のオカルト研究会が開く怪談イベントに参加します。

最初はよくある怪談ばかり。
正直、退屈だった。

ところが、ある女性の語りが始まった瞬間、空気が変わる。
会場全体が張り詰め、目が離せなくなる。

その怪談は、派手な恐怖を語るものではありません。
けれど、なぜか忘れられない。
信じていないはずなのに、頭の奥に残り続ける。

数日後から、カレンの周囲で起こり始める奇妙な現象。
暗闇でだけ聞こえる水音。
濡れたタオルを叩きつけるような「ばしゃり」という音。
ドブ川のような匂い。

どれも決定的な証拠がない。
だからこそ怖い。


怪異か、人の仕業か。その境界線が曖昧なところが面白い

この作品の大きな魅力は、
「これは幽霊だ」と簡単に断定しないところです。

下水や害獣の調査。
職場の人間関係。
ストーカーの可能性。

考えられる現実的な原因を、一つずつ潰していく。
その姿勢はとても理性的で、読者も自然と同じ目線になります。

だからこそ、
それでも説明できない現象が残ったとき、
不安が一気に現実味を帯びてくる。

ホラーが苦手な人でも読める理由は、
「怖がらせるための話」ではなく
「原因を探ろうとする話」だからだと思います。


「あしや超常現象調査」という存在が物語を支える

物語の中でとても印象的なのが、
オカルト系YouTubeチャンネル
「あしや超常現象調査」。

調査にあたる芦屋晴子と越野草太のコンビは、
超常現象を信じすぎず、否定もしない。

観測できるものは観測する。
証拠がなければ決めつけない。

その姿勢が、物語全体のバランスを保っています。

特に芦屋晴子という人物は、
能力を持つ仲間たちをまとめ、判断を下し、前に進む存在。

怪異に直面しても感情に飲み込まれず、
それでも人を見捨てない。

彼女がいるからこそ、
読者はこのおどろおどろしい物語を最後まで読み進められます。


五感に訴えかけてくる怖さが、記憶に残る

『深淵のテレパス』の恐怖は、視覚だけではありません。

・暗闇で迫ってくる水音
・鼻につく生臭い匂い
・足元に広がる正体不明の液体

読んでいるうちに、
音や匂いまで想像してしまう。

「ばしゃり」という音が、
背後から聞こえてきそうで、
ページをめくる手が少し慎重になる。

ホラー映画を観ているように、
映像が自然と頭に浮かぶ読書体験でした。


誰におすすめの本か

この本は、こんな人に向いています。

・心霊や呪いを信じていないけれど、怖い話は気になる人
・ホラーとミステリー、どちらも楽しみたい人
・派手すぎない恐怖を味わいたい人
・理由を考えながら物語を追うのが好きな人

子どもの頃は作り話として聞けていた怪談が、
大人になると「現実と地続きの話」に感じられて怖くなる。
本作は、そんな感覚を持つ人にこそ刺さる物語です。


「理由はわからないけれど、怖い」
そんな感覚が好きな人には、
背筋『近畿地方のある場所について』おすすめです。

日常の中に紛れ込む違和感を、
少しずつ積み重ねていく構成は、『深淵のテレパス』と通じるものがあります。

どんなシーンで読みたいか

・夜、一人の時間
・部屋の明かりをつけたまま
・一気に読みたい休日

暗闇がテーマになる物語なので、
完全に電気を消して読むより、
明かりのある場所で読むほうが、逆に怖さが増します。

日常の中に、非日常が入り込む感覚を味わえます。


読後に残る気づきと変化

地下の洞窟のイメージ画像

読み終えたあと、
すぐに気持ちを切り替えられませんでした。

信じていないはずなのに、
家の物音や水の音が、少し気になる。

それが怖さなのか、
ただの思い込みなのかは、よくわからない。

でも、そんなふうに感じてしまうこと自体が、
この物語を読んだ証なんだと思います。


作者の描く「余白」が、この作品の価値

上條一輝さんの文章は、
答えを押しつけません。

オカルトに寄り切らず、
現実にも寄り切らない。

だからこそ、
読者それぞれが違う受け取り方をできる。

「信じないけど、怖かった」
その感想こそ、この作品の正解なのだと思います。


おわりに

『深淵のテレパス』は、
怖がりながらもページをめくってしまう一冊です。

読後、夜の物音に少し敏感になるかもしれません。
水の音に、少しだけ立ち止まるかもしれません。

でも、それも含めて、
この本を読んだ証。

ホラーとミステリーが好きな人も、
普段あまり読まない人も、
きっと忘れられない読書体験になるはずです。

第2弾を読みたくなる気持ち、
きっとあなたも味わうと思います。


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