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キャンプ×幽霊×殺人鬼!?最後は涙する衝撃のエンタメ小説

山翠夏人『キャンプをしたいだけなのに』書影。女子ソロキャンプが幽霊や殺人鬼に遭遇するサバイバル小説のレビュー記事用アイキャッチ。 山翠夏人

この本で得られるもの・効果

  • キャンプのリアルな楽しさと道具の知識が自然に身につく
  • 日常を忘れ、非日常のサバイバルにどっぷり浸かれる没入感
  • 「他人とどう距離をとるか」という人間関係のヒント
  • 絶望的な状況でも諦めずに生き抜く力を学べる
  • そして最後には「生きたい」という強い思いが心に残る

ただキャンプしたいだけなのに…

夜のキャンプ場のテントの写真

タイトルから想像するのは「のんびり自然を満喫するキャンプ小説」。
でも本を開いて数ページで、その予想は大きく裏切られます。

主人公・斉藤ナツは、仕事や人間関係に少し疲れている「ソロキャン女子」。
人を避けるわけではないけれど、他人との関わりにあまり積極的ではなく、一人で過ごす時間を何より大切にしています。

そんな彼女が「静かな時間を楽しもう」と山奥のキャンプ場へ向かうのですが…
待っていたのは、幽霊との奇妙な出会いと、殺人鬼との命がけの戦いでした。


誰におすすめ?

キャンプ好きな人に

テントや椅子の設営、焚き火の描写など、細かいキャンプ知識がふんだんに登場します。
読むだけで「キャンプしてみたい!」とワクワクするほどリアルです。

サスペンス・ホラー好きな人に

管理人の怪しい行動、暗闇からの襲撃、不気味な幽霊の登場…。
予測できない展開の連続に、ハラハラしながらページをめくる手が止まりません。

人間関係に悩む人に

人嫌いに見えるナツですが、物語が進むにつれて彼女の本当の姿が少しずつ浮かび上がってきます。
他人との距離感に悩む人なら、きっと共感できる部分があるでしょう。

続編『キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編』レビュー


キャンプシーンのリアルさ

本作の面白さは、ただのサバイバル小説ではないところ。
冒頭からキャンプギア(道具)の説明や、料理の場面が丁寧に描かれています。

  • 「キャンプ用品は軽くなるほど値段が重くなる」
  • 「唯一気に入っていないのは同僚からもらったフライパン」

こうした小ネタやリアルな道具選びの悩みは、キャンプ経験者なら「あるある」と頷けますし、初心者にとっては実用的な知識にもなります。

さらに料理シーンでは、トマトやバジルを使ったカプレーゼなど、思わず自分でも試したくなるレシピが登場。
恐怖や緊張感の合間に「美味しそう」と感じる描写が挟まれることで、読者の感情が揺さぶられます。


主人公・斉藤ナツの魅力

ナツの魅力は何といっても「冷静さ」と「諦めない姿勢」。

幽霊に出会っても、普通に会話を始めてしまう塩対応ぶり。
殺人鬼に襲われても、絶望するより先に「どう生き延びるか」を考える行動力。

彼女のクールさは時に笑いを生み、時に読者を安心させます。
「私もこんな風に強くなれたら…」と思わせてくれるヒロインです。

ただ冷たい人間ではなく、心の奥には他人への優しさを隠し持っている。
その人間味が、物語の後半でじわじわと表れていくところに感動します。


幽霊との会話がクセになる

恐怖の対象であるはずの幽霊が、この物語では意外にも人間らしい心を持った存在として描かれています。
重たい過去を語る女に対し、ナツが返したのは「唐揚げ食べる?」という思いがけない一言。
一見すると塩対応ですが、そのやりとりはどこか温かく、孤独な魂に寄り添っているようにも感じられます。
怖いのに笑えて、そして切ない。
そんな瞬間があるからこそ、続くサバイバルの緊張感が際立ち、物語全体に人間ドラマとしての厚みが増していくのです。


サスペンス要素の面白さ

キャンプ場のコテージの写真

「ただキャンプしたいだけなのに、なぜか殺人鬼と戦うことになる」
このギャップが物語全体を通しての大きな魅力です。

暗視装置を持つ猟師、湖畔での不気味な管理人、そして正体不明の自殺志願者たち。
次から次へと襲いかかる危機に、読者はハラハラドキドキ。

そして驚くのは、ナツがただ逃げるのではなく、時に相手を挑発し、反撃すること。
その姿はまるでアクション映画のヒロインのようで、ページをめくる手が止まらなくなります。


読後に残る気づき

この作品を読み終えると、不思議な余韻が残ります。
ただのサバイバル小説でも、ホラー小説でもない。

「生きること」「人と関わること」について考えさせられる物語なのです。

物語が進むにつれて、ナツの心には少しずつ変化が生まれます。
人と関わることの難しさ、そしてその先にあるもの。
読者自身も「もし自分だったら」と重ねて考えさせられる瞬間が訪れるでしょう。

ラストシーンには思わず胸が熱くなるような感動があり、読後には前を向く力を与えてくれるでしょう。


まとめ

『キャンプをしたいだけなのに』は、

  • キャンプのリアルな知識
  • 幽霊との不思議で笑える会話
  • 殺人鬼との緊迫バトル
  • そして主人公の成長と感動

これらが一冊にギュッと詰め込まれた、唯一無二のエンタメ小説です。

ただ怖いだけではなく、読後には心が温まり、人とのつながりや「生きることの意味」について考えさせてくれる。
そんな深みのある作品に仕上がっています。

エンタメとしての爽快感と、人間ドラマとしての感動。
両方を味わいたい方に強くおすすめできる一冊です。


👉 もしあなたが「ただ静かにキャンプを楽しみたい」と思っているなら、この本を開いた瞬間、想像もしなかったサバイバルの世界に引き込まれるでしょう。
そしてきっと、ナツの生き抜く姿に勇気をもらえるはずです。

キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編もあるみたいなので、そちらも楽しみです。


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