辻村 深月 「止まった時間」に取り残された高校生たち――辻村深月が描く切ない青春 はじめに ― 分厚い「鈍器本」に挑む体験辻村深月さんのデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』。初めて手にしたときにまず驚かされるのは、その厚さです。ハードカバーで700ページ近い、まさに「鈍器本」と呼ぶにふさわしい存在感。普段から読書をしてい... 2025.08.17 辻村 深月
藤崎翔 500年ぶりの復活──呪い人形お梅、現代で再び牙をむく!? 1. はじめに「呪いの人形」と聞けば、夜な夜な動き出して人を恐怖に陥れる——そんな背筋の凍る物語を想像する人が多いでしょう。ですが、藤崎翔さんの『お梅は呪いたい』は、その想像を気持ちよく裏切ってきます。本作は、戦国時代に一族を滅ぼしたとされ... 2025.08.13 藤崎翔
木塩鴨人 人との距離に悩んだすべての人へ。『月がある』がくれる静かな救い 1. この本との出会いSNSを眺めていたある日、ふと目に飛び込んできた一つの投稿。そこには、作者・木塩鴨人さんの作品『月がある』についての紹介がありました。その時は、作者が病気であることなど何も知りません。ただ、言葉の端々から伝わる温もりや... 2025.08.11 木塩鴨人
乙一 誰かがいる。でも見えない。――乙一『暗いところで待ち合わせ』感想とレビュー 1. 作品概要『暗いところで待ち合わせ』は、乙一さんが描く心理サスペンス小説。駅のホームで起きた殺人事件と、視覚を失った女性の静かな暮らしが、思わぬ形で交錯します。「殺人犯」と「盲目の女性」という、絶対に交わらないはずの二人が、声を交わさず... 2025.08.10 乙一
宮下奈都 才能よりも「続ける力」が道をひらく。調律師をめざす青年の成長物語『羊と鋼の森』 1. 『羊と鋼の森』とは?──音の奥にある“森”を描いた物語本作は、ピアノの「調律師」という職業を中心に描かれた静かな成長の物語です。高校生の外村は、先生から頼まれてピアノ調律師・板鳥宗一郎を案内することになります。その出会いは、彼の人生を... 2025.08.02 宮下奈都
逢坂冬馬 【書評】『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬|戦争の正義と憎しみを問う、ひとりの少女の壮絶な成長譚 1. はじめにもし、すべてを奪われたら——あなたは何のために戦いますか?そして、どこまでが“正義”だと信じられますか?逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』は、そんな問いを突きつけてくる物語です。本書は、第11回アガサ・クリスティー賞を受賞... 2025.07.30 逢坂冬馬
千早茜 【読書レビュー】『しろがねの葉』千早茜|銀の山に生きた少女ウメの一生に、静かに心を揺さぶられる 1. はじめに|なぜ今、『しろがねの葉』なのか千早茜さんの小説『しろがねの葉』は、戦国時代末期、関ヶ原の戦いを挟んだ時代の石見銀山を舞台に、一人の少女・ウメの人生を描いた物語です。歴史小説でありながら、名を残さぬ人々の息づかいや、時代に抗い... 2025.07.25 千早茜
北大路公子 【読書感想】『お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記』北大路公子 — 死と暮らしと「決められない私」を抱きしめるユルくて強いエッセイ1. 本書の概要:お墓の話かと思ったら…タイトルにある「お墓、どうしてます?」という問いは、多くの人にとって他人事ではありません。親のこと、自分のこと、家族のこと——近づいて... 2025.07.23 北大路公子
伊坂幸太郎 『重力ピエロ』伊坂幸太郎|放火と遺伝子、そして家族の絆を描く物語 伊坂幸太郎さんの小説『重力ピエロ』は、読後に静かに問いかけてくる物語です。「人は、自分の運命を変えられるのか?」「遺伝子はすべてを決めるのか?」――。放火事件と落書き、そして兄弟の心に残る傷跡が重なり合いながらも、不思議と軽やかに読ませてく... 2025.07.20 伊坂幸太郎
宮島未奈 成瀬は天下を取りに行く|“自分らしく生きたい”すべての人に背中を押してくれる物語【宮島未奈】 続編『成瀬は信じた道をいく』はこちらSNSや人間関係で「他人の目」を気にして疲れていませんか?宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りに行く』は、そんな現代人に「自分の気持ちに正直でいいんだ」と教えてくれる物語。突き抜けた女子高生・成瀬あかりの... 2025.07.04 宮島未奈本の紹介