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本の紹介

宮島未奈

【読了レビュー】『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈|まっすぐすぎる彼女に惹かれずにいられない

前作『成瀬は天下を取りにいく』の記事はこちら1. はじめに:再び、成瀬が帰ってきた『成瀬は天下を取りにいく』で多くの読者に強烈な印象を残した成瀬あかり。前作の衝撃から、「続きが読みたい」「成瀬にまた会いたい」と願っていた方も多いのではないで...
伊坂幸太郎

『重力ピエロ』伊坂幸太郎|放火と遺伝子、そして家族の絆を描く物語

伊坂幸太郎さんの小説『重力ピエロ』は、読後に静かに問いかけてくる物語です。「人は、自分の運命を変えられるのか?」「遺伝子はすべてを決めるのか?」――。放火事件と落書き、そして兄弟の心に残る傷跡が重なり合いながらも、不思議と軽やかに読ませてく...
坪井聖

『なでしこの記憶』(坪井聖)感想|涙が止まらない。優しさに包まれた青春に、心が癒やされる物語

はじめに『なでしこの記憶』は、ページをめくるたび胸がぎゅっと締めつけられ、読み終わる頃にはその痛みがじんわりと温かい涙に変わっている――そんな不思議な読後感をもたらしてくれる青春小説です。絵を描く意味を見失った少年・矢崎颯斗と、笑顔の奥に深...
松下龍之介

科学と信仰が交差するとき、真実は姿を変える――『一次元の挿し木』の深い闇

1. 湖から現れた骨と、妹のDNAが一致するという衝撃冒頭、湖の底から発見された200年以上前の人骨と、現代のDNAが一致するという異常事態から物語は動き出します。DNA鑑定の結果、その骨と一致したのは、行方不明となっていた少女・紫陽(しは...
五十嵐貴久

『奇跡を蒔くひと』感想|地方医療を変えた一人の医師の覚悟と優しさに心が震える

1. 地方医療の現実と、詩波市民病院の危機舞台は、地方都市・詩波(しなみ)市にある市民病院。少子高齢化が進み、地域の人口も年々減少。財政難にあえぐ市の中で、病院の年間赤字はついに4億円に達した。「税金泥棒」とまで言われかねない中、市民の声が...
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『休養学』レビュー|「ちゃんと休んでるのに疲れが取れない」あなたへ

1. はじめに「なんとなく疲れが取れない」「休んでもスッキリしない」そんな悩みを抱えていませんか?私自身、夜勤をしており生活リズムが乱れがちです。便秘や慢性的な疲れも気になっていました。そんなときに出会ったのが、片野秀樹さんの『休養学 あな...
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『BUTTER』柚木麻子|料理と欲望から見えてくる“本物の自分”とは?

1. 作品概要とあらすじ柚木麻子さんの『BUTTER』は、実際に起きた首都圏連続不審死事件をモチーフにしたフィクション作品です。しかしこの小説は単なる事件の再構築ではなく、"女性"という存在の社会的な立ち位置や生き方、欲望や自己表現、そして...
多崎礼

異世界で心を奪われた|読後、放心した『レーエンデ国物語』感想レビュー

「読んだあと、何も手につかなくなる本に出会いたい」――そんな気持ちに応えてくれるのが、多崎礼さんの『レーエンデ国物語』です。政略結婚から逃げ出した貴族の娘・ユリア。彼女は英雄と称えられる父・ヘクトルとともに、銀呪病が蔓延する地――レーエンデ...
川上未映子

生きるって、こんなに過酷で、優しい──川上未映子『黄色い家』感想

「生きるって、こんなに過酷で、こんなにも優しい──」そんな矛盾に、涙が出そうになる物語に出会いました。川上未映子さんの『黄色い家』は、社会の片隅で声を上げられずに生きてきた女性たちの、生々しくて切実な日々を描いた物語です。読み進めるほどに、...
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小説『暗殺』の感想・考察|安倍元首相事件をモデルに描かれた衝撃作とは?

1. 『暗殺』柴田哲孝とはどんな本か?「あなたが信じている“真実”は、誰が作ったものですか?」柴田哲孝による小説『暗殺』は、2022年7月8日に起きた日本の元内閣総理大臣の銃撃事件をモチーフに描かれたフィクション作品です。作中で元首相・田布...