逆転泥棒/藤崎翔【感想・レビュー】予想のナナメ上をいく”逆転劇”に、読み終えて放心した話

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「この記事は、藤崎翔の小説『逆転泥棒』の感想・レビュー(ネタバレなし)です。」

「ミステリーが好きだけど、最近は読む前に展開が読めてしまって、驚けなくなってきた」

そんなふうに感じていませんか?

私もそういう時期がありました。
伏線を探しながら読むくせがついて、「あ、これ後で回収するやつだ」
と先読みして、気づいたら素直に物語に乗れなくなっていた。

この本は、そんな読み方をしていた私を、あっさり裏切ってくれました。

それも、ただの「どんでん返し」じゃない。
読み終えた後、しばらく本を閉じたまま、
ぼんやりとしてしまうような——そういう種類の逆転でした。

藤崎翔さんの『逆転泥棒』は、空き巣犯の主人公が、
忍び込んだ家で初恋の人と再会するところから始まる物語です。
笑えて、切なくて、懐かしくて、そして最後に全部ひっくり返される。

「青春時代の格差」
「ずっと引きずっている後悔」
「誰かへの怒りと愛情が混ざり合った気持ち」——そういうものを抱えたことがある人なら、
きっとどこかで刺さる場面があります。

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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『逆転泥棒』のあらすじ・作品情報(ネタバレなし)

【作品情報】

  • タイトル: 逆転泥棒
  • 著者: 藤崎 翔
  • 出版社: 双葉社(双葉文庫)
  • 発売日: 2023年10月11日

【あらすじ】 主人公の名前は「善人」と書いてヨシト。
しかしその名とは裏腹に、彼は空き巣で前科二犯の男だった。

刑期を終えて出所したばかりのヨシトは、懲りずに豪邸へ空き巣に入る。
しかし、忍び込んだその家は、なんと初恋の相手・マリアが暮らす家だった。
後日、偶然を装ってマリアと再会し、急速に距離を縮めていくヨシト。
だが、彼女はかつての親友(タケシ)と結婚しており、どこか不穏な空気を纏っていた。
そして彼女の口から出たのは、夫の殺害依頼で——。

ノスタルジックで切ない平成の青春時代と、不穏な現在が交錯する。
大ヒット作『逆転美人』の著者が贈る、予測不能のミステリー。

ネオンくん
ネオンくん

戸締りちゃんと
しないとダメだよ。

『逆転泥棒』をおすすめしたい人:平成の青春を知る世代へ

誰に向けて書かれた本か、というより「誰が読むと刺さるか」という話をさせてください。

年齢でいうなら、30代〜50代あたりの方に特におすすめしたいです。
バブル崩壊後の時代、子どもの頃の貧富の差がなんとなく空気としてあった時代を知っている人。あの頃の「当たり前」が、実は当たり前じゃなかったと、後から気づいた人。

そういう人には、この物語の空気感がリアルに届くと思います。

こんな気持ちがある人にも、ぜひ。

・昔の友人のことを、今でもときどき思い出す
・初恋の人が、今どうしているか気になってしまうことがある
・あの頃の自分と、今の自分の落差に、なんとなく複雑な気持ちを持っている
「もし違う選択をしていたら」と、たまに考えてしまう

どれかひとつでも「あるかも」と思ったなら、この本はあなたのための本です。


もっと「予想のナナメ上をいく展開」に騙されたい方へ

『逆転泥棒』のような、切なくて温かい余韻の残る逆転劇とはまったく違うベクトルで
「極限のどんでん返しを体験したい!」という方には、
我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』をおすすめします。

かなり過激で猟奇的な描写が含まれるため読む人を選びますが、ラスト1ページで世界が反転するあの衝撃は、ミステリー好きなら一度は体験しておくべき傑作です。

どんなシーンで読むのが正解?ミステリーの世界に没入する夜

夜、ひとりのときに読むのがいちばん合っていると感じました。

にぎやかな場所より、静かな部屋で、飲み物でも手元に置いて、ゆっくり読んでほしい。

この物語には、子ども時代の回想シーンが何度も挟まれます。
公園で遊んだ日のこと、
部活を辞めた夜のこと、
好きな人に初めてメールを送ったときのドキドキ——読んでいると、
自分の記憶とごちゃまぜになってくる瞬間があるんです。

だから、急いで読まなくていい。
むしろ少しずつ、自分の記憶と照らし合わせながら読むほうが味わいが深くなります。

通勤・通学の合間にも読めますが、
「あ、ここで終わりたくない」という場面が必ずやってきます。
そのときのために、まとまった時間も確保しておくことをおすすめします。

ゴハンくん
ゴハンくん

平成はテレビの世界がキラキラ
輝いていた思い出があるよ。


感想①:「あの頃」の話をするとき、人はなぜ美化してしまうのか

子供の頃公園で遊んでいた記憶のイメージ画像

同じ時間を過ごした人でも、立場が違えば「あの頃」の色はまるで違う
——この物語はそのことを、じわじわと実感させてくれます。

マリアは「あの頃に戻りたい」と言う。
でも主人公のヨシトには、同じ「あの頃」がまったく違う色をしている。

貧富の差で感じた恥ずかしさ。
友人の家に行けなくなったあの日。
バイトしながら賞味期限切れのパンを食べていた時間。
夢を諦めざるを得なかったあの夜。

「楽しかった」と言える人と、「あれは辛かった」としか思えない人が、
同じ思い出を語っている。

このすれ違いの描き方が、とてもうまかった。

誰かと昔話をするとき、自分だけが置いてけぼりになるような、
あの感覚——覚えがある人には、特に刺さると思います。

ネオンくん
ネオンくん

みんなは昔の方が良かった?


感想②:主人公は空き巣犯?「善人と書いてヨシト」という名前

空き巣で金目の物を物色しているイメージ画像

主人公の名前は「善人」と書いて「ヨシト」と読みます。

でも彼は空き巣の前科二犯。

名前と行動がまったく一致していない——このちぐはぐさが、
読み始めからずっと頭の片隅に引っかかり続けます。

人は名前の通りに生きられるとは限らない。
それでも、善く在ろうとする気持ちを手放せない人間の話として読むと、
物語がもう一段深くなります。

「善い人間」とは何か。
どうすれば善く生きられるのか。
答えは出ないまま読み進めていくのですが、それがかえって物語の余韻を深めてくれます。

ゴハンくん
ゴハンくん

名は体を表すって言われるよね。
僕は食いしん坊だからゴハンだよ。


藤崎翔作品の魅力!笑えるのに、切ない絶妙なバランス

藤崎翔さんの作品は、ユーモアと哀愁の配分がほんとうに巧みです。

この本でも、シリアスな場面の直前に、思わず笑ってしまうようなやりとりが挟まれます。
空き巣のプロであるスーさんのキャラクターや、
ヨシトの内心のぼやきなど、クスッとしてしまう要素がたっぷりある。

でも笑いながら読んでいると、ふとした瞬間に胸が痛くなる。

笑えるシーンが積み重なるほど、
その後の展開との落差が大きくなる——それが藤崎さんの物語の巧さだと思います。

「重い話は苦手だけど、でもちゃんと心に残るものが読みたい」
という方に、特におすすめしたい理由がここにあります。

ネオンくん
ネオンくん

悲しい話すぎたら
読むの辛い時あるよね。


予想を裏切る展開!「逆転」のほんとうの意味は物語の外にある

帯には「この逆転劇は誰にも予想できない!」とあります。

正直に言います。私には予想できませんでした。完全に裏切られました。

でも読み終えてしばらく経って、もう一度タイトルを見たとき、
「逆転」という言葉の意味が変わっていました。

物語の構造としての逆転だけじゃない。
立場の逆転、感情の逆転——そして、自分がずっと抱えていたある気持ちまで、
ひっくり返される感じがしました。

一度読んだら、もう一度最初から読み直したくなります。
そのとき、さっきとは違う目で読める。
それがこの小説の仕掛けのすごさです。

ゴハンくん
ゴハンくん

どうやって考えてるのか
不思議だよね。


読了後の余韻:読み終えたあとに、こんな変化が起きるかも

この本を読んだあと、いくつかのことを考えるようになりました。

・「あの頃」の自分を、少しだけやさしく見られるようになる
昔の友人のことを、急に連絡したくなる気持ちになる
・自分が「善く」生きられているかどうか、ふと振り返る
・誰かに対して抱えていた怒りや、ずっと言えなかった「ごめん」が、頭をよぎる

物語の中の登場人物と自分が重なる瞬間が、必ず来ます。
そのとき、何かが動く感じがする。

感動というより、「発見」に近い読後感でした。

ネオンくん
ネオンくん

友達は大切だね。


読み終えて、私が感じたこと

読み終えたとき、正直に言うと、しばらく何もできなかったです。

「そういうことか」という気持ちと、
「そうだったのか」という気持ちが同時に来て、
頭のなかで物語をもう一度早送りしていました。

読んでいる途中は、ヨシトの視点で、
ある人物への複雑な感情をずっと共有しながら読んでいました。
裕福な家庭に生まれ、なんとなく恵まれてきた人間への、あの灼けるような感情。
それが私にも、どこかにある気がして。

でも、全部わかったとき——怒りの矛先が変わる感じがしました。
怒る必要がなくなった、というのが近いかもしれない。

そして物語の終盤、ヨシトがある誓いを立てる場面。
ここで泣きそうになったのは、物語への感動というより、
「こういうふうに終われる人生もあるんだ」という安堵感のようなものだったと思います。

実は以前、藤崎翔さんの『あなたに会えて困った』を読んだことがあったのに、
すっかり忘れていて、またもやしっかり驚かされてしまいました。
懲りない読者です。

それにしても、物語の舞台になっている青春時代の平成がドンピシャ世代なので、
読んでいる間ずっと懐かしい気持ちが続いていました。
あの頃の空気感がこんなにリアルに蘇ってくる小説、なかなかないです。

それと、これだけ長い時間を経ても続いている友情の話が、羨ましくて仕方なかった。
読み終えたあと、昔の友だちが今どうしているか、ふと思い出していました。

「逆転」は物語の中だけで起きていたんじゃなかった。
読んでいる自分の中でも、何かがひっくり返っていた——読み終えたとき、
そんなふうに感じました。

ネオンくん
ネオンくん

空き巣や泥棒なんか
絶対にしたらダメだからね!

ゴハンくん
ゴハンくん

あ〜あ。
また僕のご飯
猫ババしてるよ。


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