『傲慢と善良/辻村深月』感想レビュー|恋愛・結婚で悩む人にこそ読んでほしい一冊

本の紹介

目次

  1. はじめに
  2. あらすじ(ネタバレなし)
  3. 心をえぐる問い:なぜ人は誰かを選ぶのか
  4. 「傲慢」と「善良」が同居する現代
  5. 感情の延長ではなく、人生の選択としての結婚
  6. 自分軸を持つということ
  7. まとめ:苦しさの中に、確かな希望がある物語

1. はじめに

辻村深月さんの『傲慢と善良』を読了しました。
一言で言えば「しんどい」。けれど「読んでよかった」と心から思える作品です。婚約者が姿を消すというミステリー的な入り口から始まりながら、物語が掘り下げていくのは「人が人を選ぶとはどういうことか?」という重いテーマ。特に、恋愛や結婚に悩むすべての人に刺さる内容でした。


2. あらすじ(ネタバレなし)

結婚式を目前に控えた婚約者・坂庭真実が突然姿を消した。彼女はストーカー被害を受けていたという情報もあり、連れ去られたのか、それとも自分の意志で姿を消したのか?
婚約者の西澤架は、彼女の過去をたどりながら、自分自身の「結婚観」や「人を選ぶ」という行為の意味と向き合っていくことになる。


3. 心をえぐる問い:なぜ人は誰かを選ぶのか

本書が突きつけてくるのは、「私たちはなぜその人を選んだのか?」というシンプルだが答えの出ない問い。誰かを選ぶとき、どこかで「相手を評価」し、「自分にふさわしいか」を見極めようとしてしまう。この選ぶという行為自体が、実は傲慢なものなのかもしれないと気づかされました。


4. 「傲慢」と「善良」が同居する現代

「傲慢」と「善良」は、対極のようでいて、実は人間の中に同時に存在するもの。
例えば、結婚相談所で相手を条件で品定めする姿は「傲慢」に映るけれど、親の言うとおりに従ってきた人は「善良」である一方で、自分の人生の舵を他人に預けているとも言えます。どちらかだけを持っている人などいない。私自身も、読んでいて「傲慢だったな」と思い知らされました。


5. 感情の延長ではなく、人生の選択としての結婚

恋愛の延長線上に結婚があるのではなく、結婚はまったく別の「選択」だと、この物語は語ります。好きという気持ちだけではたどり着けない領域に踏み込むには、相手を尊重する意思、自分の人生観、そして「どんな人生を誰と生きたいか」のビジョンが必要だということに気づかされます。


6. 自分軸を持つということ

物事を「誰かに言われたから」「親が望んだから」という他人軸で判断している限り、人は幸せになれない。
私自身、過保護な親のもとで育ち、レールの上を歩くように生きてきました。でも、少しずつ「自分で考えて選ぶ」ようになってから、人生が明るくなった実感があります。『傲慢と善良』は、そのプロセスがどれほど困難で、でも尊いものかを丁寧に描いています。


7. まとめ:苦しさの中に、確かな希望がある物語

全ての登場人物に共感と違和感が同時に湧き、どこか自分自身を見ているようで胸が痛くなる。
「自己評価は低いけど自己愛が強い」そんな自分に気づかされて、最初は苦しかった。でも、この物語が伝えてくれたのは、「他人と比べず、自分で考えて、自分の幸せを選ぶこと」こそが、今を生きる私たちにとって一番必要なことなんだというメッセージでした。
恋愛、結婚、そして「選ぶ」ということに悩んでいる全ての人に、この本をおすすめします。

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