山田宗樹『鑑定』感想|感情コントロール社会の危うさとは

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こんにちは!本好きイーブイです。

毎日慌ただしく過ごしていると、
「このイライラや不安を、ボタン一つで消せたらいいのに…」
と思う瞬間はありませんか?
実は先日、次男の高校受験があったのですが、
親の私の方がそわそわと落ち着かなくて、
「今すぐ感情を整えてくれる便利な機械があればいいのに!」
と本気で思ってしまったほどです。

今回ご紹介するのは、まさにそんな夢のような(?)
感情制御家電が当たり前になった近未来を描く、
山田宗樹さんのSF小説『鑑定』です。

  • ネガティブな感情を消せる「エモーション・コントローラー」がもたらす悲劇とは?
  • 怒りや悲しみを失った人間に、本当の「幸せ」はあるのか?

この記事では、現代のストレス社会やSNS疲れにも深く突き刺さる本作のあらすじと見どころを、核心のネタバレなしでご紹介します。

ネオンくん、ゴハンくんと一緒に、
便利すぎる社会がもたらす少しゾッとする未来の世界をのぞいてみませんか?

読書と猫が大好きです。
「次に何読もう?」のヒントになる記事を届けています。
あなたの“次の一冊”につながればうれしいです。

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1. 山田宗樹『鑑定』とは?感情をコントロールする社会のリアルな描写

感情をコントロールできる機械のイメージ写真

山田宗樹による近未来SF小説『鑑定』は、
ストレス社会を背景に登場した”感情制御家電”
が当たり前になった未来を描いています。
物語に登場するのは、”エモーション・コントローラー”、
通称エモコンという装置。
元々は心療内科で使われる医療機器でしたが、
その後急速に家庭用へと普及していきます。

エモコンを使用すれば、誰でもボタンひとつで感情を安定させることが可能になります。
不安、怒り、悲しみといったネガティブな感情も簡単に消し去ることができるこの装置は、
多くの人にとって夢のようなツール。
しかし、便利さの裏側にひそむリスクが、物語の中心テーマとなっていきます。

ネオンくん
ネオンくん

機嫌がいいと
ゴロゴロ鳴るよ。

2. 【ネタバレなし】あらすじ:精神科医と殺人未遂犯のやり取りから始まる物語

『鑑定』の物語は、市長選候補に対する放火および殺人未遂事件をきっかけに始まります。
精神科医・葛西幸太郎は、犯行を起こした男・犬崎理志の精神鑑定を担当することになります。

淡々と犯行を語る犬崎に対し、葛西はある”違和感”を抱きます。
それは、あまりにも安定しすぎた精神状態。
普通であれば罪悪感や混乱が見られるはずの場面で、
彼はまるで何も感じていないかのように振る舞います。

葛西は、彼の中に”感情の喪失”を見出し、
事件の裏にある”社会的な問題”に徐々に気づいていきます。

ゴハンくん
ゴハンくん

僕もまたたび吸うと
おかしくなるかも。

3. エモーション・コントローラー(エモコン)の副作用とは?感情の抑圧が招く犯罪

エモコンを使用することで、怒りや悲しみといった不快な感情を瞬時に消せるようになる一方、
それがもたらす弊害も物語では丁寧に描かれています。
感情の波を感じない生活は一見穏やかに思えるものの、
人間としての”危機察知能力”や”他者への共感力”が徐々に薄れていくのです。

物語の中で明らかになっていくのは、
エモコンを長期間使用している人々の間で犯罪率が増加しているという事実。
怒りを感じることなく、迷いもなく犯行に及んでしまう人間たち。
便利なはずの装置が、社会を静かにむしばんでいく様子が描かれます。

ネオンくん
ネオンくん

人間は便利な物に
頼りすぎだなあ。


▶ あわせて読みたい


AIは人間の感情を理解できるのか──幸田真音『人工知能』では、近未来の社会とテクノロジーとの関係がリアルに描かれています。
『鑑定』と同じく“感情と機械”のテーマに触れた作品として、併せて読みたい一冊です。
『人工知能』感想記事はこちら

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4. 感想・考察①:SNS依存・ストレス耐性の低下に通じる現代社会とのリンク

このSF的な設定は、実は現代社会とも深くつながっています。
SNSの普及によって、常にポジティブでいなければならないという空気感。
ストレスを感じることすら”悪”とされる風潮。
そして、メンタルケアの手段として薬やガジェットに頼る傾向──。

『鑑定』に登場するエモコンは、まさにそうした現代の縮図のような存在です。
ネガティブな感情を遠ざけることが正義になったとき、
私たちは本当に人間らしく生きられているのでしょうか?

ゴハンくん
ゴハンくん

仕事ばかりじゃなく、
日向ぼっこしようよ。

5. 感想・考察②:「感情を失った犯人」が問いかける“人間らしさ”とは何か

物語の終盤、葛西は犬崎に対して明確な違和感を持ち始めます。
それは、彼の行動にまったく”迷い”がないこと。
感情を抑えるどころか、感情そのものを喪失しているような振る舞い。

これは単なるSFの装置による影響ではなく、
「人間らしさ」とは何かを問う哲学的なテーマへとつながっていきます。
私たちは喜怒哀楽を持つからこそ人間であり、
その揺らぎがあるからこそ他者を理解し、共感することができるのです。

ネオンくん
ネオンくん

みんな疲れてるんだなあ。

6. 結末に触れずに語る読後の余韻:「幸せ」とは感情をなくすことなのか?

本作を読み終えたあと、強く印象に残るのは
「感情をコントロールできたとして、それは本当に幸せか?」という問いです。

便利すぎる道具が人間の感情そのものを奪っていく未来は、
決して遠い世界ではないかもしれません。
スマートデバイスやAIが日常を支配する今だからこそ、
この小説はリアルに感じられ、読者に深い余韻と警鐘を残します。

現代人の多くが抱えるモヤモヤや生きづらさに、鋭く切り込んでくる一冊。
感情との向き合い方を、改めて見直したくなる物語でした。

ゴハンくん
ゴハンくん

みんなはストレス
どうやって解消する?

ネオンくん
ネオンくん

猫を飼うと
癒されるよ。


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