原田ひ香 6人の“月収”から見えてくる、人生の本当の豊かさ 1. はじめに──お金は人生のすべてか?原田ひ香さんの『月収』は、お金を軸に6人の人生を描く連作短編集です。登場するのは、年齢も立場も背景もまったく異なる人たち。老後資金に悩む女性、夢と生活の狭間で揺れる作家、将来を見据えて投資に挑む会社員... 2025.08.15 原田ひ香
町田そのこ 誰かのせいじゃない。自分の人生は、自分で選んでいい──『星を掬う』読後レビュー 「母に捨てられた」「不幸になったのは誰かのせい」「人生が思うようにいかない」——そんな感情にとらわれながら生きてきた主人公が、かつての母との記憶を辿り、再会し、赦し、そして自分自身の人生を歩き直すまでの物語。それが、町田そのこさんの小説『星... 2025.08.07 町田そのこ
久坂部羊 【書籍紹介】『怖い患者』久坂部羊|その感情、狂気と紙一重? 1. 本書は誰におすすめか精神的な揺らぎを感じている方医療現場や医者と患者の関係に興味のある方人間の心理や内面の闇に惹かれる読書が好きな方コロナ禍以降、「何を信じればいいのか」不安になった経験がある方短編でも骨太な読み応えを求める人自分は普... 2025.07.28 久坂部羊
喜多川泰 【書評】『賢者の書』喜多川泰|今日から「どんな人間になりたいか」を考えてみよう 1. はじめに|この本が心を動かす理由『賢者の書』は、読み終えた瞬間に「今日から新しい人生を生きよう」と思わせてくれる稀有な一冊です。単なる自己啓発書ではなく、物語を通して深く人生の本質に問いかける力を持っています。喜多川泰さんの作品はどれ... 2025.07.27 喜多川泰
千早茜 【読書レビュー】『しろがねの葉』千早茜|銀の山に生きた少女ウメの一生に、静かに心を揺さぶられる 1. はじめに|なぜ今、『しろがねの葉』なのか千早茜さんの小説『しろがねの葉』は、戦国時代末期、関ヶ原の戦いを挟んだ時代の石見銀山を舞台に、一人の少女・ウメの人生を描いた物語です。歴史小説でありながら、名を残さぬ人々の息づかいや、時代に抗い... 2025.07.25 千早茜
宮島未奈 【読了レビュー】『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈|まっすぐすぎる彼女に惹かれずにいられない 前作『成瀬は天下を取りにいく』の記事はこちら1. はじめに:再び、成瀬が帰ってきた『成瀬は天下を取りにいく』で多くの読者に強烈な印象を残した成瀬あかり。前作の衝撃から、「続きが読みたい」「成瀬にまた会いたい」と願っていた方も多いのではないで... 2025.07.21 宮島未奈
坪井聖 『なでしこの記憶』(坪井聖)感想|涙が止まらない。優しさに包まれた青春に、心が癒やされる物語 はじめに『なでしこの記憶』は、ページをめくるたび胸がぎゅっと締めつけられ、読み終わる頃にはその痛みがじんわりと温かい涙に変わっている――そんな不思議な読後感をもたらしてくれる青春小説です。絵を描く意味を見失った少年・矢崎颯斗と、笑顔の奥に深... 2025.07.19 坪井聖
松下龍之介 科学と信仰が交差するとき、真実は姿を変える――『一次元の挿し木』の深い闇 1. 湖から現れた骨と、妹のDNAが一致するという衝撃冒頭、湖の底から発見された200年以上前の人骨と、現代のDNAが一致するという異常事態から物語は動き出します。DNA鑑定の結果、その骨と一致したのは、行方不明となっていた少女・紫陽(しは... 2025.07.18 松下龍之介
五十嵐貴久 『奇跡を蒔くひと』感想|地方医療を変えた一人の医師の覚悟と優しさに心が震える 1. 地方医療の現実と、詩波市民病院の危機舞台は、地方都市・詩波(しなみ)市にある市民病院。少子高齢化が進み、地域の人口も年々減少。財政難にあえぐ市の中で、病院の年間赤字はついに4億円に達した。「税金泥棒」とまで言われかねない中、市民の声が... 2025.07.17 五十嵐貴久本の紹介
本の紹介 『BUTTER』柚木麻子|料理と欲望から見えてくる“本物の自分”とは? 1. 作品概要とあらすじ柚木麻子さんの『BUTTER』は、実際に起きた首都圏連続不審死事件をモチーフにしたフィクション作品です。しかしこの小説は単なる事件の再構築ではなく、"女性"という存在の社会的な立ち位置や生き方、欲望や自己表現、そして... 2025.07.14 本の紹介柚木麻子