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この本で得られること・読んだあとに残るもの
『境界のポラリス』を読むと、
「自分と違う誰か」を、少しだけやさしい目で見られるようになります。
国籍、言葉、家庭環境、育った場所。
本当は誰もが何かしらの「違い」を抱えて生きているのに、
学生の頃は特に、その違いが怖くなったり、隠したくなったりします。
この物語は、
「自分はどこに属しているんだろう」
「このままでいいのかな」
そんな気持ちを抱えた人の心を、そっとほぐしてくれる一冊です。
重たいテーマを扱いながらも、読み終えたあとには
人と人のあたたかさと、前を向く力が残ります。
中国生まれ、日本育ち。主人公・恵子の抱える葛藤

主人公の吉田恵子(ケイコ)は、中国人の母を持ち、5歳で日本に来ました。
中国人の父のDVから逃げるように来日し、母は日本で再婚します。
名前は「小麗(シャオリー)」から「恵子」へ。
日本語の発音も、言い回しも、必死で身につけました。
それは「日本人になりたい」から。
正確には、中国人だと思われたくなかったからです。
小学生の頃、中国に関するニュースをきっかけに心ない言葉を投げられ、
それ以来、恵子は自分のルーツを隠すようになります。
高校では「普通の日本人の女の子」として過ごしているけれど、
心の中にはずっと、不安と緊張がありました。
夜間中学「アオバ」との出会いが、世界を広げていく
そんな恵子が出会うのが、
外国にルーツを持つ子どもたちが通う
青葉自主夜間中学(アオバ)です。
ひらがなも難しい。
カタカナはもっと難しい。
敬語なんて、何が何だかわからない。
それでも、子どもたちは一生懸命です。
恵子は「教える側」として関わりながら、
かつての自分と似た悩みを持つ子たちに出会います。
・学校に居場所がない
・働かないと生活できない
・日本人との間に、見えない壁を感じている
どれも、恵子自身が感じてきたことでした。
アオバは、
間違えても怒られない場所
ゆっくりでいいと言ってくれる場所。
家庭や学校とは別に、
「ここにいていい」と思える居場所があることが、
どれほど人を救うのかが、確かに伝わってきます。
友情があるから、苦しさも分け合える
この物語がとても心地よいのは、
恵子の周りにいる人たちが、基本的にあたたかいことです。
クラスメイトのミツコとサナ。
家庭の問題を抱えながらも、まっすぐな気持ちを持つミツコ。
親の偏見とは別に、恵子を一人の友だちとして大切にするサナ。
夜間中学で出会う、元気で前向きな楽花。
不器用で、劣等感を抱える陳克。
誰も完璧じゃない。
だけど、ちゃんと悩んで、ぶつかって、話そうとする。
「ひとりじゃない」と思えた瞬間、
人は少し強くなれるのだと感じました。
誰におすすめの本か
・10代後半〜30代の人
学生時代の息苦しさや、人間関係の違和感を覚えている人に。
「あの頃の自分」を思い出しながら読めます。
・自分の居場所に迷ったことがある人
家庭でも学校でも、どこか落ち着かなかった経験がある人に。
居場所は一つじゃなくていい、と教えてくれます。
・多文化や社会問題に関心がある人
難しい言葉や説教はありません。
物語として自然に理解できる一冊です。
自分がどこにも完全には属せない感覚は、
『ミーツ・ザ・ワールド』(著:金原ひとみ)で描かれる、
世界との距離感にも通じるものがあると感じました。
どんなシーンで読みたいか
・一気読みしたい休日
・人間関係に少し疲れた夜
・ニュースを見て、モヤっとした気持ちを抱えたとき
テンポがよく、読みやすいので
「気づいたら最後まで読んでいた」という感覚になります。
読後に得られる気づき・心の変化

この本を読むと、
「偏見は、知らないことから生まれる」
という当たり前だけど大切なことに気づかされます。
中国、日本、外国人、日本人。
ニュースで作られたイメージと、目の前の一人の人間は別物です。
差別するつもりがなくても、
表情や言葉の端に、無意識の思い込みが出てしまうこともある。
それに気づけたこと自体が、
この本を読んだ大きな収穫でした。
また、
言葉にしないと伝わらないことがある
というメッセージも、強く心に残ります。
謝ること。
感謝すること。
助けてほしいと言うこと。
どれも勇気がいりますが、
言葉にした先に、関係の変化があります。
作者の描く世界のやさしさ
中島空さんの文章は、とてもやさしいです。
誰かを断罪せず、
「そう感じてしまう気持ち」も否定しません。
だからこそ、読者は自分を重ねられます。
外国人に限らず、
日本人同士でも、うまく話せない人はいます。
この物語は、
「わかり合えなさ」も含めて、人と生きることを
肯定してくれる一冊だと感じました。
まとめ:この本は、心の境界線を少し低くしてくれる
『境界のポラリス』は、
読み進めるうちに、
登場人物の気持ちが少しずつ自分の中に入り込んでくる物語です。
読後、ふと自分の過去や、
これまで出会ってきた人のことを思い返していました。
そして、
読み終えたあと、世界の見え方が少し変わります。
誰かと違ってもいい。
居場所は、自分で見つけてもいい。
そんなふうに思えたなら、
この本は、あなたの中でちゃんと光っています。
迷っている人にこそ、手に取ってほしい一冊です。
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