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知的障害と共感の物語『アルジャーノンに花束を』感想と気づき

感動の名作『アルジャーノンに花束を』レビュー記事のアイキャッチ|人間の尊厳と優しさを考える ダニエル・キイス

1. 「アルジャーノンに花束を」ってどんな話?

『アルジャーノンに花束を』は、ダニエル・キイスが書いた感動の小説。知的障害のある青年チャーリイ・ゴードンが、脳の手術を受けてIQがぐんと上がり、やがてまた元に戻っていくというお話です。物語はチャーリイの日記(経過報告)という形で進んでいくので、最初はひらがなだらけで読みづらいのですが、それも彼の状態をリアルに感じさせてくれます。

途中からは難しい言葉や専門用語がどんどん出てきて、「すごい…!」と思う一方で、どこかさみしさも感じるんです。チャーリイが賢くなるにつれて、周りの人との距離もできてしまって……。

2. 読みにくい? でもそれが意味あるんです

最初に読むとき、「ちょっと読みにくいなぁ」と感じた人、多いと思います。でもそれはチャーリイの知能がまだ低い状態だからなんです。文法ミスや言い回しの変さも、すべて意味がある表現。そこから少しずつ文章が整っていき、やがてチャーリイは難しいこともスラスラと書けるようになります。

でも、読み進めるうちに、彼が手術で賢くなっても「幸せ」とは言いきれない現実が見えてきます。自分がどれだけ周りから見下されていたか、自分がただ笑われていただけだったと知った時の彼のショックは、読んでいるこちらにもグサッときます。

3. アルジャーノンと未来への不安

この物語のもうひとつの主人公、白ネズミのアルジャーノン。彼も同じ手術を受けて賢くなった仲間ですが、ある時から体調を崩し、やがて……。

その姿を見たチャーリイは、自分にも同じ運命が待っていると悟ります。「また昔の自分に戻ってしまう」その恐怖と向き合う彼の姿は、とても辛いけれど、だからこそ彼の勇気や優しさが心に残ります。

4. 読んで感じたこと、考えたこと

この本を読み終わってまず思ったのは、「違う立場にいる人のこと、もっとちゃんと想像してみよう」ってこと。知的障害がある人のこと、普段は深く考える機会が少ないけれど、こうして一人の人生を通して知ることで、少しだけでもその気持ちに近づけた気がします。

「読書って、自分じゃない誰かの人生を体験できることなんだなぁ」と改めて感じました。優しさや思いやり、共感する気持ちって、きっと全部“知ること”から始まるんですよね。

5. 差別や嫉妬、優越感って?

この本で描かれるのは、ただの感動話ではありません。人間の持つ“嫉妬”や“差別意識”のリアルさも胸に刺さります。

たとえば、頭がよくなったチャーリイを周囲が遠ざけたり、冷たくしたりする場面。これって、今の社会でも起こっていることですよね。「自分より優秀な人が現れると、つい比べてしまう」「なんとなく疎ましくなる」そんな感情、誰の心にも少しはあるんじゃないでしょうか。

一方で、知的障害のある頃のチャーリイを“かわいそう”と感じていた人たちがいた。でもその「かわいそう」は本当に優しさだったのか、それとも自分より下だと思っていたからなのか……考えれば考えるほどモヤモヤします。

6. 純粋って、幸せなのかな?

チャーリイは元の自分に戻りながらも、最後まで周囲の人に優しさを持って接しようとします。その姿が本当に切なくて、でも同時にあたたかいんです。

純粋な人は、たしかに愛らしい。だけどその純粋さがあるからこそ、傷つきやすくもある。頭が良くても幸せとは限らないし、知的にハンデがあっても人との絆や喜びを感じられることがある。どちらが良い、悪いではなく、すべてが「人間らしさ」なんだなと感じさせられました。

7. この本をおすすめしたい人

この本は、「人間ってなんだろう?」「他人を思いやるってどういうこと?」と考えたことがあるすべての人に読んでほしいです。

そして特に、「自分とは違う立場の人と、どう向き合えばいいんだろう」と悩んでいる人にこそ、ぴったりの一冊です。

泣けるとか、感動したってだけじゃない。読んでいて、心の奥がじんわりあったかくなって、でもどこか切なくなる。そんな読後感を味わいたい人には本当におすすめです。

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