愛されたいがゆえに壊れる心──『消えない月』ストーカー小説の衝撃

「小説『消えない月』の感想記事用アイキャッチ画像。ストーカー加害者の心理を描く作品を紹介」 本の紹介

【読了】『消えない月』――ストーカー加害者の恐怖と心理を描く

「別れても忘れられない」――その執着が、恐怖へと変わる。
『消えない月』は、別れた恋人に執着する男が、ストーカーへと変貌していく過程を描いた物語です。

嫌われている現実を受け入れず、自分に都合の良いように物事を解釈する男。その姿に、底知れぬ恐怖を覚えました。
この小説では、加害者側の心理が驚くほど詳細に描かれています。思い込み、妄想、そして自分にとって都合のいい物語を作り変えていく――。それらが彼の中で「当たり前」になっているのです。

家庭環境など、背景には同情の余地があるのかもしれません。しかし、だからといって加害行為が許されるわけではありません。
ストーカー加害者は、被害者以上に執着し、執念深く追いかけてきます。だからこそ、決して油断してはいけないと強く感じました。

たった1ヶ月半の交際だったにもかかわらず、ここまで執着される危険性――。異性と付き合うことが、時には命がけになりうる現実を突きつけられます。

本作は、被害者と加害者、二つの視点から語られます。
「なぜそんな風に考えられるのか?」と、思わず目を細めながら読み進めました。しかし、ストーカーには自己客観視がまるでできないのだと気づかされます。
常に他人を責め、自分は絶対に悪くないと信じて疑わない。どこかで知恵が働くくせに、愛され方を知らない。
それでも、「自分はストーカーではない」と言い張る――。

被害者女性の対応には甘さも感じましたが、だからこそ狙われたのかもしれないと複雑な気持ちになりました。
弱さは、時に命取りになる。しかし、誰にでも弱さはある。その怖さを改めて突きつけられた一冊です。

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