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この本で得られること
一穂ミチさんの『光のとこにいてね』は、
**「自分ではどうにもできなかったあの頃の苦しさ」**にそっと寄り添ってくれる物語です。
家庭環境に傷を抱えた二人の少女が、
出会いと別れを繰り返しながら“光の方へ”進んでいこうとする姿が描かれています。
●「誰かを救いたいのに、うまくやれなかった」
●「大人になっても消えないしこりを抱えている」
●「家族との関係にずっとモヤモヤしている」
そんな人の心を、静かに洗うような力をもった小説です。
さらに、読み終えたあとには
「人は誰かの光になれる」
「愛は、ひとつの形では語れない」
そんな気づきが、ゆっくり胸に広がります。
『光のとこにいてね』という物語

(できるだけネタバレなし)
物語の中心にいるのは、小瀧結珠(こたき ゆず)と校倉果遠(あぜくら かのん)。
全く違う家庭に育ちながら、なぜか強く惹かれ合う二人。
結珠は、一見すると恵まれた家庭で育ったように見える女の子です。
けれど実際は、母が“良い子であること”を強く求めるタイプで、
勉強や振る舞いに対してとても厳しい家でした。
そのため結珠は、いつのまにか自分の気持ちを後回しにし、
「言いたいことは飲み込む」ことが習慣になってしまっています。
一方で果遠は、団地で暮らす少し不思議な少女。
母の考え方が極端で、
食べ物・服・生活のすべてに独自のルールがあり、
“普通の家庭の当たり前”をほとんど経験しないまま育ってきました。
給食を食べることも、お風呂に入ることも、
周りの子と同じようにはできません。
子どもらしい自由や安心を知らないまま生きてきた子です。
環境は違うのに、
「母に愛されない痛み」
をどちらも抱えている。
その共通した痛みが、二人を強く結びつけます。
幼い頃の出会い。
そして長い年月を経ての再会。
二人は何度も離れて、何度も惹かれて、
そのたびに心の奥が揺さぶられていきます。
友情とも違う。
恋愛とも違う。
家族とも言えない。
「言葉では定義できない関係」をこんなにも丁寧に描ける作家がいるんだ、と驚かされるほど。
物語は光の中と影の中を行き来しながら進み、
読者は気づけば、結珠と果遠のことを
「どうか光のとこにいて」と願わずにはいられなくなります。
誰におすすめか
● 10代後半〜40代以降まで幅広く響く物語
特に、
・子どもの頃の記憶に痛みがある人
・家族との距離に悩んだことがある人
・誰かとの関係が心にもやを残している人
には深く刺さります。
気持ちが繊細になっている時こそ、
この物語の“静かなまなざし”に救われるはずです。
● 「人間関係に疲れた」と感じている人
結珠と果遠は、他の誰にも理解できない距離でつながっています。
だからこそ、「わかってもらえた瞬間のあたたかさ」が心に響きます。
「わかってほしかった」「気づいてほしかった」
そんな思いを抱えたまま過ごしてきた人に、特におすすめです。
● 光と影が交互に押し寄せる物語が好きな人
明るいシーンだけではない。
胸が苦しくなる出来事も、何度もやってきます。
とはいえ、その影があるからこそ光が美しい。
そんな物語の構造を味わいたい人にはぴったりです。
同じく“傷を抱えた誰か”にそっと寄り添う物語として、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』も心に深く届く一冊です。
「誰にも届かない声をあげる人」を描いた作品で、読後にあたたかい涙がそっと流れるような余韻が残ります。
静かな優しさに救われたいとき、ぜひあわせて読んでみてください。
どんなシーンで読みたいか
● 一人になれる静かな時間
寝る前や、休日の午後など、
心の声がよく聞こえる時間に読むのが向いています。
結珠と果遠の世界には、
心の奥にしまっていた記憶をそっと呼び覚ます繊細さがあります。
● 現実に疲れ、ひと呼吸つきたい時
重たいテーマを含んではいるものの、
読後には不思議な「光」が残ります。
人生の歯車が少しかみ合わないな、と感じている時ほど、
深く響く言葉が散りばめられています。
● 人との距離に悩んでいる時
二人の“絶妙な距離感”は、一気に近づきすぎず、
かといって離れると耐えられない、
そんな微妙なバランスの上に成り立っています。
誰かとどう向き合うべきか悩んでいる時、
心の形をそっと整えてくれる本です。
読後に得られる気づき・変化

● 「人は誰かの光になれる」
結珠は果遠にとって光でした。
そして果遠も、結珠を光へ引っ張り上げてくれる存在でした。
読者もまた、
「自分が誰かの光であったのかもしれない」
「今も誰かを照らしているのかもしれない」
と気づかされる瞬間があります。
● 過去の痛みは消えなくても、前に進める
二人の過去は決して軽いものではありません。
けれど、痛みを抱えたままでも未来へ進もうとする姿に、
読者は勇気をもらいます。
「完璧じゃなくていい」
「ゆっくりでいい」
そう言われているような優しさがあります。
● 愛はひとつの形では語れない
この物語に“恋”という言葉は似合いません。
でも、間違いなく“愛”だと言えるつながり。
「形ではなく温度で伝わる愛情」
そんなものがこの世界にはあると知ることができます。
● 人の痛みに気づけるようになる
果遠も結珠も、母親との関係に深い傷があります。
その痛みを少しずつ開いていく描写は、
「見えない傷ほど深い」ことを教えてくれます。
読後、身の回りの人の言葉や行動を
“別の角度”から見ることができるようになるかもしれません。
特に心に残った魅力
● 二人の「出会いの必然性」
偶然のようで、必然のようで、
なぜかすれ違ってもまた再会する二人。
互いの存在が光になったり影になったりしながら、
距離を縮めたり離れたりする関係性がとても印象的です。
「願い」「祈り」「別れ」「希望」。
さまざまな感情が二人の間を揺れ動き、
読み進めるほどにその深さが伝わってきます。
読みながら感じたこと
結珠の「言いたいことを飲み込んでしまう癖」や、
果遠の「無理に明るくふるまって自分を隠す姿」が胸に刺さります。
二人の感じる息苦しさが、どこか自分の過去とも重なって、
読みながらそっと心を撫でられているような感覚になりました。
そして作中で何度も登場する
「光のとこにいてね」という言葉。
その響きがあまりに優しくて切なくて、
場面によって違う意味を帯びてくるのが印象的です。
物語の行き先は、読む人によって受け取り方が変わります。
ただひとつ言えるのは、読み終えたとき、
結珠と果遠の関係の“あたたかい余韻”が静かに残ること。
その余韻が、物語を読み返したくなるほど美しく、
ずっと心に残り続ける作品でした。
まとめ:光と影のあいだで生きるすべての人へ
『光のとこにいてね』は、
ただの感動作でも、恋愛小説でも、成長物語でもありません。
影を抱えて生きてきた二人が、
それでも光を求めて進もうとする物語。
読めばきっと、
自分の人生にも静かな光が差し込むような、
そんな一冊になるはずです。
読後、心の深いところで
「優しさ」がじんわり広がっていきます。
そして気づけば、
あなた自身の中にも
結珠や果遠のような“光”が生まれているかもしれません。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
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