家族に何ができる?——『フリーター、家を買う。』は今を生きる人に効く再生の物語
親との関係に悩んでいる人、人生に行き詰まりを感じている人にこそ読んでほしい一冊。
どん底から少しずつ光を取り戻していく様子に、きっと自分の未来も信じたくなる。
弱さを抱えた主人公だからこそ見せてくれる“等身大の成長”に、胸を打たれる作品です。
■ あらすじ:家族崩壊寸前からのスタート
新卒で就職するも、わずか三ヶ月で退職。その後、定職にも就かずアルバイトも長続きしない“親のスネかじり”生活を送っていた誠治。
そんなある日、母親が重度のうつ病になってしまう。家庭のバランスは一気に崩れ、無口で頑固な父親、しっかり者の姉、それぞれがすれ違いながらも向き合い始める——。
「家族って、どうしたらもう一度ちゃんとやり直せるんだろう?」そんな問いに、静かだけど確かな答えをくれる物語です。
■ 共感:母の涙、ご近所の“冷たさ”
一番印象的だったのは、母親が「何も言えずにずっと我慢してた」ことが明らかになるシーン。
近所で陰湿ないじめを受けていたことに、家族は誰も気づいていなかった。
毎日一緒にいるのに、肝心なことは見えていなかった——この事実が、主人公にも読者にも突き刺さります。
そして、母親が久しぶりに笑うシーンには胸が熱くなりました。
無表情で何も語らなかった彼女が、家族の何気ないやり取りにふっと笑顔を見せる。
その一瞬に、誠治たちの努力や思いやりがしっかり届いていたのだと感じられて、静かな希望を覚えました。
■ 成長:焦ったいけれど真っ直ぐな誠治の変化
最初は本当に情けない青年だった誠治。でも、母の病気をきっかけに変わろうとする。
コンビニのバイトから就職活動へ、少しずつ社会に踏み出していく様子は、リアルで共感の連続。
「逃げたいけど、逃げ続けるのも苦しい」という気持ちが描かれていて、まるで自分のことのように感じられる。
特に、就職先の社長が誠治の素直さや優しさを見抜いてくれるシーンでは、彼の“ポテンシャル”が報われた気がして胸が熱くなりました。
■ まとめ:あけない夜はない。人はきっと変われる
『フリーター、家を買う。』は、“変わりたいけどどうすればいいか分からない”人に寄り添ってくれる作品です。
自分の弱さを否定せず、それでも諦めずに前を向く姿勢が、読む人の背中をそっと押してくれます。
どんなにバラバラになってしまった家族でも、地道に向き合えば再生は可能なんだと教えてくれる一冊でした。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
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