『よるのばけもの』読了レビュー|思春期の「正しさ」と「怖さ」に向き合う夜
・いじめや人間関係に悩む学生に寄り添う物語。
・傍観者だった自分を見つめ直すきっかけになる。
・誰もが持つ「多面性」と「想像力」について考えさせられる。
いじめられている女の子が、夜中の学校で化け物に出逢う話。
夜になると化け物になってしまう主人公と、いじめを受ける少女が、夜の校舎で静かに出会う。
それをきっかけに、関わりを避けていたはずの主人公の心に少しずつ変化が訪れる――。
この作品を通して強く響いたのは、
「難しいことはいい、生き延びなさい。大人になったらちょっとは自由になれる。」
という言葉でした。
思春期の息苦しさや閉塞感の中では、「生き延びる」ことすら大変で、それでも「今を越えた先に自由がある」と示してくれるように感じました。
この本をおすすめしたいのは、今まさに友達関係に悩んでいる中高生です。
また、いじめを見て見ぬふりしてしまっている人にも読んでほしい。少しの勇気が、誰かを救えるかもしれないから。
物語は、いじめを止めれば今度は自分がいじめられるかもしれないという恐怖と、
クラスの「正しさ」から外れることへの不安との戦いでもあります。
「みんなが正しい。あの子はおかしい。僕…俺は…?」
自分の立場や考えが揺らぎながら、それでも何かを選び取ろうとする少年の姿に、思春期ならではの苦しさやもどかしさが詰まっていました。
誰でも「いじめられる側」にも「加害する側」にもなり得るし、
自分を守るために「無関心」を装うこともある。
だからこそ、「想像力を持つこと」と「持ちすぎないこと」のバランスもまた、悩ましいテーマです。
この本は、主人公と少女の関係を通じて、
他人との関わり方、自分の居場所、そして「本当の優しさとは何か」を静かに問いかけてきます。
物語の中で、誰もが少しずつ自分を見つめ直していく。
中学生くらいの子にとって、きっと忘れられない一冊になるはずです。
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