小説レビュー

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『ミーツ・ザ・ワールド』感想|金原ひとみが描く歌舞伎町の多様な生き方と心を揺さぶる小説

1. 『ミーツ・ザ・ワールド』(著:金原ひとみ)あらすじと登場人物『ミーツ・ザ・ワールド』は、27歳の銀行員・三ツ橋由嘉里と、歌舞伎町のキャバ嬢・鹿野ライの出会いを軸に展開する小説です。オタク気質で腐女子の由嘉里が、婚活中の合コンで泥酔し、...
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占いに頼りたくなる夜に。気持ちをラクにしてくれる本『強運の持ち主』瀬尾まいこ

占いは人生相談?『強運の持ち主』が教えてくれる、前に進むための優しいヒント1. 占い=特別?そんな思い込みがふっと軽くなる「占い師って神聖で特別な人」——そんなイメージを抱いていた私が、本書『強運の持ち主』を読んで最初に笑ってしまったのは、...
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『Iの悲劇』感想|地方再生とIターン支援の現実を描く社会派ミステリ

『Iの悲劇』レビュー|地方再生と人口減少のリアルを描く社会派ミステリ1. 地方創生をテーマにした社会派小説『Iの悲劇』とは『Iの悲劇』は、米澤穂信による社会派ミステリ小説であり、限界集落の再生をテーマにした作品です。舞台は架空の町・南はかま...
幸田真音

幸田真音『人工知能』小説感想|自動運転の暴走事故が描くAI社会の危うさ

1. 中国と日本のAI事情の違い近年、人工知能(AI)の進化はめざましく、特に中国ではそのスピードが異常ともいえるほど速い。監視カメラや顔認証技術、AIによるビッグデータ解析など、人権やプライバシーを犠牲にしてでも技術を前進させている姿勢は...
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『だから荒野』読了レビュー|46歳専業主婦の家出が突き刺さる!共感とスカッと感の物語

46歳の誕生日。専業主婦・森村朋美は、自ら新宿のレストランを予約し、家族とのささやかなひとときを楽しみにしていた。しかし、家を出る前から雲行きは怪しい。高校生の次男は「行かない」と不機嫌にごね、夫と大学生の長男は「お酒を飲みたいから運転して...
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「押しつけの優しさにモヤモヤするあなたへ」──高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』感想と共感の記録

『おいしいごはんが食べられますように』感想・レビュー目次ごはんが「雑に扱われる」珍しい小説善意や親切が誰かを追い詰めることもある丁寧な暮らしと、疲れきった日々のギャップ食べることに無関心でも、この物語は刺さる押しつけられる“正しさ”への違和...
山崎豊子

報われない努力に悩む人に読んでほしい。『沈まぬ太陽 1 アフリカ篇 上』山崎豊子 が教えてくれる“闘う価値”

目次はじめに労働組合の闘士・恩地元の姿報復人事という現実なぜ辞めないのか?恩地の葛藤航空会社の裏側と組織の闇夫婦の絆と孤独な戦い最後に:名作の持つ力1. はじめに山崎豊子による社会派小説『沈まぬ太陽』の第一巻「アフリカ篇・上」を読み終えまし...
中山七里

AIに裁かれる未来が怖い…そんな不安を整理できる小説──『有罪、とAIは告げた』を読んで

【読了感想】『有罪、とAIは告げた』──AI裁判官と人間の正義の境界を考える1. AI裁判官がもたらす未来とは?AIが司法の現場に導入される──そんな未来はもうすぐそこまで来ています。『有罪、とAIは告げた』では、中国との技術交流の一環とし...
古市憲寿

正義は時代とともに変わる──古市憲寿『ヒノマル』から考えたこと

古市憲寿さんの小説『ヒノマル』を読みました。昭和18年、戦時下の日本を舞台に、少年と少女の出会いを描いた青春小説です。正義とは何か。時代に流されず、自分をどう貫くか。そんな問いを静かに、しかし力強く投げかけてくる作品でした。時代が変われば正...
恒川光太郎

【読書感想】幻想的な異界に迷い込む――恒川光太郎『夜市』

1. 『夜市』ってどんな本?恒川光太郎さんの『夜市』は、2編の短編が収録された中編集です。一見ホラー小説に思えるかもしれませんが、実際には幻想的で郷愁を誘うような和風ファンタジーとしての魅力が光る作品です。2. 「夜市」――弟と才能、代償の...
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