差別と正義の行き着く先にある、この世界の姿とは何なのか

世界99下のアイキャッチ画像

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最近、SNSを開くたびに、どこか息が詰まるような気持ちになりませんか。
正論のはずなのに、何か引っかかる。
誰かを守る言葉なのに、刃物のように鋭く感じてしまう。

『世界99 下』は、そんな小さな違和感をそのまま言語化してくれる物語です。
著者は村田紗弥香さん。

ページをめくると、きれいに整えられた理想ではなく、むき出しの人間の本音に出会います。
そして気づいてしまいます。
自分の中にも、差別や依存がひっそりと潜んでいることに。

・どうしてこんなにモヤモヤするのだろう
・なぜ私は誰かより上に立ちたくなるのだろう
・本当に、私は自分で選んできたのだろうか

その問いを、遠回しにせず、まっすぐ描ききってくれる一冊です。

物語はするすると読めます。
だけど、内容は決して軽くありません。

それでも最後には、読んでよかったと、思いました。

ネオンくん
ネオンくん

ネット上の言い合い
たまにすごいことなってるよね。

正しさがあふれる世界で、何が起きているのか

女の子三人が友情婚しているイメージ画像

この物語の舞台は、大きく価値観が塗り替えられた架空の世界です。

人々は「恵まれた人」「クリーンな人」「かわいそうな人」に分類されています。
そして、その社会を支える存在として、ピョコルンがいます。

家のことをする。
子どもを産む。
性欲のはけ口になる。

設定だけを見ると、あまりにも道具の様です。
だけど、気づけば「これは本当に遠い話だろうか」と不安になります。

あれ。
この構図、どこかで見たことがある。

家庭の中で、当たり前のように役割を背負う人。
職場で、下の立場として当然のように働く人。
誰かのために尽くすことを求められる人。

姿は違っても、仕組みは似ている。

そう思った瞬間、目が離せなくなりました。

ゴハンくん
ゴハンくん

いつもご飯出してくれるから、
僕は一番上の立場なのかも。

空子という女性の揺らぎ

主人公の空子は、強い正義を掲げるタイプではありません。

怒りをぶつけ続ける人がいる。
新しい価値観にすっとなじむ人もいる。
奪われる人もいれば、知らないうちに奪う側に立つ人もいる。

空子は、そのど真ん中に立っています。

自分は「クリーンな側」にいると思っている。
だけど実際は、誰かの犠牲の上で暮らしている。

ピョコルンと生活しながら、
支える側であるはずの自分が、苛立ちや不満を抱えてしまう。

その揺れが、とても人間らしいのです。

世界のルールが変わっても、
人の弱さはそう簡単には変わらない。

自分を守るために、
記憶さえ少しずつ書き換えてしまう。

その描写は、改めて考えさせられました。

ネオンくん
ネオンくん

人間は当たり前になったり、
わがままなとこあるよね。

見えない搾取の正体

この物語では、頼ることと奪うことが、何度も絡み合います。

・守っているつもりで縛っている
・手を差し伸べながら見返りを求める
・「気の毒だね」と言いながら、どこかでほっとする

それを読んでいると、胸がちくりとします。

本当に、他人事と言えるでしょうか。

職場の上下関係。
家庭の中の当たり前になった役割。
夫婦のあいだで言葉にされない負担。

形は違っても、どこか似ている。

ページをめくりながら、自分の今いる環境を考えていました。

自分はどの位置に立っているのだろう。
誰かに無意識に背負わせてはいないだろうか。

ゴハンくん
ゴハンくん

ご飯盗られないように
すぐ食べるよ。

「選択肢がない」と感じる人へ

この本は、「自分には選ぶ自由がない」と感じたことのある人に、深く届く物語です。

友情婚が普通の社会。
出産は別の存在が引き受ける世界。
正しさや価値観は、すでに決められている。

その枠の中で、生きていくしかない人たち。

それは本当に、遠い未来の話でしょうか。

これまでの人生で、
私はどれだけ自分の意志で選んできたのだろう。

そう考えたとき、少し自分の考えが揺らぐような気持ちになりました。

だからこそ、
誰かにすがりたくなる気持ちや、祈りに意味を見出す感覚も、どこか理解できる気がします。

この物語は、言葉にしづらかった生きづらさを、炙り出してくれています。

ネオンくん
ネオンくん

出る杭打たれちゃう。

こんな人におすすめです

・大人になってから、生きづらさを感じることが増えた人
・家庭の中で、役割が当たり前になっていると感じる人
・正しいはずの言葉に、どこか息苦しさを覚える人
・社会問題を考えるたびに、複雑な気持ちになる人
・誰かのために頑張りすぎているかもしれない人

特に、家庭を持っている人には読んでほしい。

パートナーに負担をかけすぎていないか。
「当たり前」にしていることはないか。

きっと、考えるきっかけになります。

ゴハンくん
ゴハンくん

ママに甘えちゃだめだよ。


こちらもおすすめです。
社会のかたちは違っても、人間の不穏さを描くという点で、今村夏子さんの『とんこつQ&A』も強烈でした。読後に残る説明できない違和感が、どこか通じています。

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どんな時間に読みたいか

・通勤電車の中で、少し距離を置いて社会を見つめ直したいとき
・夜、家族が眠ったあと、ひとりになれる時間
・なんとなく心がすり減っているとき
・前を向きたいけれど、その前に現実をちゃんと見つめたいとき

気軽な気持ちで開くと、思った以上に刺激的です。

できれば、時間に追われていない日に。
読み終えたあと、すぐに次の予定に向かわなくていい日などに。

ページを閉じて、しばらくぼんやり考えたくなる。
そんな読書になります。

ネオンくん
ネオンくん

ぶっ飛んだ話なのか、すごいまともな話なのか
いつの間にかわからなくなるよ。

読後に得られるもの

ドームに並べられた大量の手術ベッドのイメージ画像

読み終えると、世界の残酷さが見えてくるかもしれません。

だけど、ものの見え方は確実に変わってきます。

・自分も誰かを傷つけているかもしれないと立ち止まれる
・身近な人の負担に目が向くようになる
・正しさを振りかざす前に、一度考えられる
・「まあ、これでいいのかも」と肩の力が少し抜ける

重たい物語なのに、どこかに小さな救いがある。

それは、人間の弱さを否定しないところです。

人は完璧ではない。
いつも正しいわけでもない。

それでも、生きていていい。

そう思えたとき、ほんの少しだけ心が軽くなりました。

ゴハンくん
ゴハンくん

人間の常識は、
よく変わるね。

読む前には戻れない一冊

正直に言えば、自分の理解を超えた難しい結末でした。

不快さも残りました。
その先の未来がどうなるのかも気になりました。

それでも、「とんでもないものを読んだ」という実感ははっきりあります。

読みながら、現実とどんどんリンクしていきました。
どう理解すればいいのか分からなくなってきます。

だけど最後のページを閉じたとき、
「身近な人に負担を押しつけないようにしよう」と強く思いました。

そして同時に、
もし自分があの世界にいたら、
同じ道を選んでしまうのではないか、と怖くなりました。

それでも、新たな感性が増えた気がしました。

人間とは何なのか。
ここまで真剣に問いかけてくる小説は、そう多くありません。

重い物語です。
でも、目を背けずに読めてよかったと感じました。

もし今、社会の空気や人間関係に小さな違和感を抱いているなら。
ぜひページを開いてみてください。

見ないようにしてきたものが、きっと浮かび上がります。
そして、ものの見方が少し変わるはずです。

読み終えたあと、私はしばらく言葉を失いました。
それでも、この本の話を誰かとしたくてたまらなくなりました。

そんな読書体験でした。

ネオンくん
ネオンくん

ポルナレフ現象だよ。


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