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この本を読むことで得られるのは、
「普通じゃなくても、生きていていい」という、そっと安心できる感覚です。
・食べることが苦しい
・みんなと同じようにできない
・理由をうまく説明できない
・分かってほしいのに、分かってもらえない
そんな気持ちを、否定せずに「そのままでいい」と受け止めてくれる物語です。
読み終わっても、状況が変わるわけではありません。
だけど、自分を責める気持ちは、少しだけ軽くなります。
作品について簡単に

『人間みたいに生きている』は、
佐原ひかり さんによる青春小説です。
主人公は高校生の三橋唯。
彼女は「食べること」そのものに、強い嫌悪感を抱いています。
多くの人にとっては当たり前の行為。
楽しいはずの食事の時間。
けれど唯にとってそれは、
耐えなければならない苦痛の時間でした。
「食べられない」ことは、わがままじゃない
この物語が丁寧に描くのは、
「食べられない」という状態が、どれほど孤独で、説明しづらいものか、という現実です。
周囲からは、
・好き嫌い
・気の持ちよう
・ダイエット?
そんな言葉で片づけられてしまう。
本当は、
自分でも理由が分からない。
分かってほしいけれど、言葉にできない。
唯の苦しさは、簡単な言葉では説明できません。
吸血鬼の館と、泉という存在

そんな唯が出会うのが、
森の奥にある「吸血鬼の館」と噂される洋館。
そこに住んでいるのは、
血液パックを飲んで生きる、泉という青年です。
彼は、
・食事をしない
・人目を気にしない
・本に囲まれて暮らしている
唯にとって泉は、
「自分の苦しさを説明しなくてもいい存在」でした。
同じように“普通”から外れている人の前でだけ、
唯は肩の力を抜いていられたのです。
分かり合えると思ったのに、分かり合えない
けれど、この物語は
「似た者同士だから分かり合える」という、都合のいい話にはなりません。
同じ「食べられない」でも、理由も苦しさも違う。
共通点があるようで、実はまったく別の痛みを抱えている。
分かってもらえたと思った瞬間に、
裏切られたように感じてしまう心。
期待していた反応が返ってこなかったときの、
どうしようもない怒りや悲しみ。
このあたりの感情の描写が、とても生々しく、正直です。
「食事=幸せ」という価値観への問い
社会には、
「食べることは楽しいもの」
「食事はコミュニケーション」
という前提があります。
けれどこの本は、
その前提に、そっと疑問を投げかけます。
食事がコミュニケーションになった瞬間、
それは一気に難易度が上がる行為になることもある。
楽しいはずの時間が、
人を追い詰める時間になることもある。
この事実を、物語として体感できること自体が、
とても大きな価値だと感じました。
誰におすすめの本か
この本は、特にこんな人におすすめです。
・10代〜30代の方
・「普通」に合わせるのがしんどい人
・摂食障害、会食恐怖、食への違和感がある人
・自分の悩みをうまく言葉にできない人
・誰かの苦しさを理解したいと思っている人
また、
「身近な人が苦しんでいるけれど、どう接していいか分からない」
そんな立場の方にも、ぜひ読んでほしい一冊です。
食事をめぐる息苦しさや、「ちゃんと食べられる人」が前提になっている社会に違和感を覚えた方には、
おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子)もあわせておすすめです。
食べることを通して、人間関係の歪みがはっきりと浮かび上がってきます。
どんなシーンで読みたいか
・一人で静かに過ごす夜
・人間関係に疲れたとき
・「自分はおかしいのかも」と思ってしまったとき
・答えは出ないけれど、寄り添ってほしいとき
文章は読みやすく、
早い段階で物語の世界に入り込めます。
重たいテーマですが、
無理に前向きにさせないところが、この本のやさしさです。
読後に得られる気づき・変化
この本を読んで、強く残ったのは次のことでした。
・同じ悩みでも、同じではない
・分かることは「同じ」になることではない
・違っていても、つながることはできる
そして何より、
「自分の幸せを諦めなくていい」
というメッセージ。
苦痛でやり過ごすだけだった日常が、
人との出会いや、自分の変化によって、少しずつ形を変えていく。
その過程が、とても誠実に描かれています。
両親・友人・他人との距離感が胸に刺さる
この物語で印象的なのは、
「近い存在ほど、分かり合えないことがある」という描写です。
毎日一緒にいる両親。
本当は一番分かってほしい相手。
けれど、
枠にはめてしまい、向き合おうとしない大人たち。
一方で、
完全に理解できなくても、
「それでもいい」と認めてくれる友人の存在。
誰にとっても、思い当たる節があるのではないでしょうか。
「人間みたいに生きている」という言葉の意味
泉が口にする
「人間みたいに生きているだけ」という言葉。
それは、
自分に自信が持てない人の、精一杯の自己定義にも感じました。
人間に擬態して生きている部分は、
きっと誰にでもある。
この本は、
そのことを否定せず、静かに肯定してくれます。
この本が教えてくれたこと
・この世に絶対的に正しい価値観はない
・納得できない考えも、時に許容する必要がある
・理解できなくても、認めることはできる
そして、
「悩みを打ち明けられる人が一人いることの大切さ」
それだけで、人は少し救われるのだと思います。
まとめ:世界で一人で悲しむ人がいなくなりますように
『人間みたいに生きている』は、当たり前だと思っていた世界が、少し違って見えてくる物語です。
だけど、
少しずつ、確実に、視野を広げてくれる一冊です。
ひょっとしたら、
あなたの周りにも、唯のように
“マジョリティを演じながら苦しんでいる人”がいるかもしれない。
そんな想像ができるようになること自体が、
この本がもたらしてくれる大きな価値だと思います。
違っていてもいい。
分からなくても、寄り添える。
この物語が、
あなたや、あなたの大切な人の心を、
ほんの少し軽くしてくれますように。
気になった方はこちらからチェックしてみてください。
『人間みたいに生きている』は、各ストアで詳しく見られます!
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