この本から得られるもの
- 「自分を大切にすること」の本当の意味がわかる
- 生きづらさや自己否定感に寄り添ってくれる
- 蜜蜂やハチミツを通して、自然の力と生きる知恵を学べる
- 主人公の成長から、居場所をつくる勇気をもらえる
読むことで、人生に行き詰まりを感じている人が「私もまた一歩踏み出してみよう」と思えるきっかけになる物語です。
誰におすすめ?
- 人間関係や恋愛に疲れて「この先どうすればいいの?」と悩んでいる社会人
- 家族や職場で「居場所がない」と感じている人
- いじめや孤独の経験が心に残っている人
- 新しい環境に飛び込む勇気を持ちたい人
特に女性読者には、碧の姿に自分を重ねて読む方が多いのではないでしょうか。30歳という人生の節目で「自分の未来」を選び直す姿は、年齢や性別を問わず心を打ちます。
あらすじ

中学生の頃、碧は学校でも家庭でも孤立し、「明日なんて来なくていい」とまで思い詰めていました。そんなある日、偶然出会った見知らぬ女性が彼女に小さな瓶のハチミツを差し出します。
女性は「これは胃を守ってくれるし、リップクリームにもなるのよ」と説明しながら、まるで「あなたはもっと自分を大事にしていい」と伝えるかのように語りかけました。
その一匙の甘さは、ただの味覚ではなく「生きていていい」という灯りとなり、碧の心に深く残ります。
それから十数年後。30歳になった碧は、安定しない恋人との日々に迷いながら、彼の故郷へ向かうことになります。けれど、そこで待っていたのは決して甘いものではなく、思いがけない試練でした。愛する人の隣にいても、自分の居場所を見失いかける中、彼女の前に新しい出会いが訪れます。
養蜂場で出会った蜜蜂たち。小さな体で力を合わせ、環境に負けずに生き抜くその姿は、碧の心を揺さぶります。やがて彼女は、「自分の人生を自分で選ぶ」決意を固め、過去の痛みと共に歩き出すのです。
この本の魅力
1. 蜜蜂と人間の生き方が重なる
蜜蜂は環境が変わっても懸命に巣を守り、仲間と共に生き抜いていきます。その姿が、迷いながらも前に進む碧の生き方と重なります。読むうちに「私も環境に合わせて生きていけるかもしれない」と思わせてくれるのです。
2. 「自分を大切にする」ことの意味
冒頭で出会った女性の言葉——
「あなた自身があなたを大事にしないから、周りの人も大事にしてくれない」
このフレーズが胸に刺さります。人に振り回されず、自分で自分を認める大切さを教えてくれます。
3. 苦い現実と温かい食卓
恋人・渉の無責任さや、恋人の親から突きつけられたのは厳しい現実なども描かれます。けれど同時に、人とご飯を食べるシーンや、養蜂を通じて得た仲間との時間がとても温かい。読んでいると、自分も「誰かと一緒に食事をしたいな」と感じます。
4. 行動が未来を変える
最初は周囲に流されるだけだった碧が、自分の足で立ち、自分の意思で選び取る姿は爽快です。「幸せは勝手にやってこない。動かなければ始まらない」そのメッセージが全編を通して力強く響いてきます。
5. リアリティのある人間模様
恋人の嫉妬、恋人の親からの厳しい言葉、友人の温かい助言。人間関係の複雑さが丁寧に描かれています。誰もが完璧ではなく、誰もが弱さを抱えている。それでも前に進む人の姿が読者の背中を押してくれます。
6. 蜜蜂の生態から学ぶ知恵
養蜂のリアルな知識や蜜蜂の生態も多く描かれていて、読んでいるだけで自然と学びがあります。読んでいるうちに自然と養蜂の世界に詳しくなっていきますが、それ以上に心に残るのは「自分を大切にすること」や「居場所をつくる勇気」。蜜蜂の姿を通して、人間の生き方のヒントが浮かび上がってきます。
読んだ後に得られる気づき

- 小さな優しさが人生を変えることもある
- 自分の行動が未来を切り拓く
- 居場所は与えられるものではなく、自分でつくっていくもの
- 苦しい過去も、振り返れば「今の自分をつくる大切な一部」になる
- 食べることや日常の小さな営みが、心を支える力になる
この本を閉じたとき、きっとあなたも「自分をもっと大事にしてみよう」と思えるはずです。
こんなシーンで読みたい
- 新しい生活や仕事に不安を抱えているとき
- 恋人や家族との関係に行き詰まったとき
- 自分の居場所がわからなくなったとき
- 静かに心を落ち着けたい休日の午後
湯気の立つ紅茶やパンケーキにハチミツをかけながら読むと、物語の温度がさらに沁みてきます。ハチミツの甘さが物語のテーマと重なり、心をやさしく包んでくれるでしょう。
まとめ
寺地はるなさんの『今日のハチミツ、あしたの私』は、ハチミツのようにじんわり心を満たしてくれる物語でした。自分を嫌っていた碧が、自分を大切にすることを覚え、仲間と共に居場所を築いていく姿は、読者の心を力強く照らしてくれます。
「自分もまた、ここから変われる」——そんな勇気をくれる一冊です。
自分を大切にすることは、決してわがままではありません。むしろ、自分を大事にできるからこそ、人に優しくできる。そのことを改めて教えてくれる作品でした。
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