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『それいけ!平安部』レビュー|平安のこころで癒される青春物語

『それいけ!平安部』(宮島未奈)書影|平安のこころを学ぶ高校生たちの青春小説

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平安のこころを今に生きる高校生たちの青春。読後に優しさが残る一冊。


この本で得られること・効果

読むと「自分も誰かと一緒に何かを作りたくなる」。
そんな前向きな気持ちをくれる青春小説です。

「部活」「仲間」「文化祭」──学生時代の懐かしい言葉が、読んでいるうちに心の奥をやさしく揺らします。
さらに、物語の中で描かれる“平安のこころ”が、現代のわたしたちの人間関係や日常の悩みにまでつながっていく。
笑って、少し切なくなって、読み終えるころには心がふんわりあたたかくなります。


あらすじ(ネタバレなし)

平安時代のイメージ写真

県立菅原高校に入学した牧原栞(まきはら・しおり)は、クラスメイトの平尾安以加(ひらお・あいか)から突然「平安部を作る」と声をかけられます。
「平安のこころを学ぶ部活」と言われても、いったい何をするのかよくわからない。
けれど、安以加の和傘を差す姿とまっすぐな行動力に惹かれ、栞は彼女に巻き込まれていきます。

集まったのは、元サッカー部の大日向くん、百人一首部の幽霊部員・明石さん、そしてどこか子どもっぽいイケメンの光吉くん。
個性バラバラの5人が、なんとかして“平安部”を成立させようと奮闘します。

蹴鞠(けまり)の練習、文化祭での「平安パーク」づくり、仲間とのすれ違い──。
ふとした言葉や小さな勇気が、彼らを少しずつ成長させていきます。


誰におすすめか

この作品は、「あの頃の自分」に会いたい大人にこそおすすめです。

  • 学生時代にもう少し素直になれたらよかったと思う人
  • 部活や文化祭の熱を思い出したい社会人
  • 子どもや学生を応援する立場になった親世代
  • 忙しい日々に“ほっとできる物語”を求めている人

つまり、「青春をもう一度味わいたい」すべての人に届く一冊です。

もちろん、現役の中高生にもぴったり。
「やりたいことがあるけど一歩踏み出せない」「部活をどうしようか迷っている」──そんな気持ちに、静かに寄り添ってくれる物語です。

宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りに行く』は、周囲に流されず自分の信念を貫く女性を描いた物語。
優しさと芯の強さが響く、こちらもおすすめの作品です。


どんなシーンで読みたいか

休日の午後、ゆっくりお茶を飲みながら。
通勤電車で疲れた心を癒したいとき。
または、子どもが学校に行っている時間、ふと窓の外を眺めながら読むのもおすすめです。

この本には「頑張らなくてもいい」「でも、何かを好きでいることって素敵だよ」という空気が流れています。
だからこそ、心に余白がほしいときに読むと、じんわり沁みてくるのです。


平安部って何をするの? 〜“好き”が形になる瞬間〜

蹴鞠のイメージ写真

物語の面白さは、まずこの発想にあります。
「平安部って何するの?」
まさに読者の心の声です。

和傘、蹴鞠、百人一首、書道、平安の歌、文化祭の展示──。
どれも地味なようで、実際にやってみると奥が深い。
安以加たちは「正しい答え」を探すのではなく、自分たちなりの“平安”を楽しもうとするんです。

それがなんだか、今の時代を生きる私たちにも重なって見えます。
「完璧じゃなくてもいい。やってみよう。」
そんなメッセージが、作品全体を包みこんでいます。


キャラクターたちの魅力が止まらない!

平安部の5人は、それぞれが違う輝きを放っています。

  • 平尾安以加(ひらおあいか):まっすぐで行動的。誰かの笑顔のために全力で走る女の子。
  • 牧原栞(まきはらしおり):語り手であり、控えめだけど芯のある存在。安以加を支えながら、自分の居場所を見つけていく。
  • 大日向大貴(おおひなただいき):ゆるい雰囲気なのに、いざというとき頼れる一面もある。
    そのギャップがなんとも魅力的です。
  • 明石すみれ(あかしすみれ):静かで優しい、言葉少なな元百人一首部。
  • 光吉幸太郎(みつよしこうたろう):イケメンで少し天然。どこか憎めないムードメーカー。

彼らのやり取りはどこか自然で、会話のテンポも軽快。
まるで自分も部室の片隅で見ているような気分になります。


平安のこころが、現代を照らす

「平安」という言葉には、“穏やかで静かな時間”という意味があります。
それは、忙しさやSNSの喧騒に包まれた今を生きる私たちにこそ必要な感覚。

作中では、「筆を持つ時間」や「月を見上げる心の余裕」といった、静かな豊かさが丁寧に描かれています。
そのゆったりとした時間の流れが、現代を生きる私たちにも大切な“平安のこころ”を思い出させてくれます。

つまり、“古きを学ぶことは、自分を整えること”でもある。
彼らが「平安時代のこころ」を追いかける姿が、どこか癒しとなって心に残ります。


青春って、こういうことだったのかもしれない

百人一首のイメージ写真

部活って、ただの活動じゃないんですよね。
誰かと目標を共有し、時にぶつかり、笑って、泣いて。
そのすべてが、人生の糧になる。

物語の後半では、平安部の仲間たちが“ある挑戦”を通して、互いの絆を確かめ合います。
栞が感じる“自分だけ目立たない”という葛藤も、きっと誰もが通る道。
それでも仲間に支えられ、自分の存在を再確認していく姿が胸を打ちます。

「自分にしかできない役割って、ちゃんとあるんだ。」
そう気づかせてくれる瞬間が、何度も訪れます。


読後に得られる気づき・変化

読後に残るのは、「優しさ」と「やる気」の両方。
ただ癒されるだけじゃなく、背中をそっと押される感覚があります。

  • 誰かと一緒に何かを始める勇気
  • 自分のペースで成長していいという安心感
  • “好き”を大切にする心

そして何より、「もう一度青春したい!」という純粋な衝動。
読んだあと、ちょっと笑顔になって、明日が少し楽しみになります。


作者・宮島未奈さんの魅力

宮島未奈さんといえば、迷いながらも自分の信じた道を一歩ずつ進む人たちを描くのがとても上手な作家さんです。
今作『それいけ!平安部』でも、目標に向かって試行錯誤しながら前へ進もうとする高校生たちの姿が、まぶしく映ります。
どんなにささやかな努力でも、それを積み重ねていくことの尊さを、そっと思い出させてくれる物語です。

登場人物たちは、静かな日常の中で少しずつ変わっていきます。
その変化は小さいけれど、読者の心にも確かなぬくもりを残してくれます。


印象的な一文:「永遠にはいられない」

作中で描かれる一場面。
暗くて静かな部室の空気を「この空間にずっといたいけれど、永遠にはいられない」と表現する栞の心の声が印象的でした。

それは、青春の本質そのもの。
どんなに楽しい時間も、いつか終わりがくる。
でも、その一瞬があるからこそ、人生は愛おしい。

この一文が、読後ずっと心に残ります。


まとめ:やさしさと情熱が同居する青春小説

『それいけ!平安部』は、笑って、泣いて、心が洗われる青春小説です。
誰かの「好き」を応援したくなるし、自分の中の“忘れかけた情熱”をそっと呼び起こしてくれます。

平安のこころを学ぶ、なんてちょっと不思議なテーマ。
でもそこには、“人を思いやる気持ち”“丁寧に生きる姿勢”という、普遍的な優しさが流れています。


💡こんな人におすすめ

  • 仕事や人間関係にちょっと疲れた大人
  • 部活や文化祭に燃えた青春を思い出したい人
  • 子どもや学生を応援する親世代
  • 宮島未奈さんの作品が好きな人
  • 読みやすくて心が温まる物語を探している人

🌙 読後の余韻

本を閉じたあと、静かな夜に月を見上げたくなります。
「もう一度、誰かと一緒に夢中になりたい」──
そんな気持ちを思い出させてくれる。

平安部の合言葉が聞こえてくるようです。
それいけ!平安部!


気になった方はこちらからチェックしてみてください。

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