目次
- はじめに:ディストピアではなく「現実」の物語
- 自分ごととして突き刺さる描写
- 女性に課せられる“見えない条件”
- 日本も例外じゃない
- 男性にこそ読んでほしい理由
- まとめ:社会はすぐに変わらなくても、気づくことから
1. はじめに:ディストピアではなく「現実」の物語
『82年生まれ、キム・ジヨン』を読み終えたとき、最初に浮かんだのは「これはフィクションという形をとった現実だ」という思いでした。
まるでディストピア小説のような世界。でも描かれているのは、今まさに私たちが生きているこの社会。だからこそ、読んでいて鳥肌が立つほどの衝撃があります。
2. 自分ごととして突き刺さる描写
特別な話ではなく、どこにでもある“現実”だと感じさせられました。
生まれる前から「男の子であること」が望まれ、女の子だとわかると堕胎の対象になる。
幼い頃から弟の方が優遇され、学び、働き、家庭を築いていく中で、常に「女性だから」という理由で不利な立場に置かれる。
それは決して一部の人の体験ではなく、多くの人が感じたことのある“言語化しづらい違和感”なのだと、本書は教えてくれます。
3. 女性に課せられる“見えない条件”
女性は可愛くあらねばならず、賢すぎても馬鹿すぎてもいけない。
気配りができて、空気が読めて、感情的でなく、でも優しさは忘れずに——そんな“理想の女性像”に無言で縛られることが、どれほど多いか。
そして就職の場では、同じ能力を持っていても、評価されるには2倍努力しなければならない。
「女があまりに賢いと、会社でも持て余す」と大学教員が言い放つシーンは、その理不尽さを象徴しています。
4. 日本も例外じゃない
韓国社会の話ではあるけれど、日本も決して例外ではありません。
少子化が止まらないのは、単にお金や時間の問題だけではなく、育児・仕事・人生を両立させる社会的な支援と理解が圧倒的に足りていないから。
働く現場で女性がキャリアを諦めたり、家事育児が「女性の仕事」とされる空気は、私たちのすぐそばにも存在しています。
仕組みについていけない人が悪いのではなく、仕組み自体が誰かの犠牲を前提にしていること。そのことに気づかされます。
5. 男性にこそ読んでほしい理由
物語の中で最も印象的だったのは、キム・ジヨンと夫のすれ違い。
夫は悪人ではないし、むしろ思いやりもあるのに、肝心な部分で全く噛み合わない。
これは「当事者でなければ見えない現実」があることを痛烈に示しています。
こうした社会構造に無自覚なまま生きてしまうことこそが、変化を妨げる要因。
だからこそ、この本は男性にこそ読んでほしいと強く思います。
6. まとめ:社会はすぐに変わらなくても、気づくことから
『82年生まれ、キム・ジヨン』は、読む人に深い問いを投げかけてきます。
「私はこの社会を、どう生きるのか?」「何を見過ごしてきたのか?」
仕組みはすぐには変わらない。
でも、その中で声を上げている人がいること、自分の中にも無意識の偏見があるかもしれないことに気づくだけで、何かが変わり始めるはずです。
この本を通して、自分や周囲の環境を少し見直してみる——その一歩が、未来のための確かな前進になるのではないでしょうか。
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